学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
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346,482人。
この膨大な人数は、文部科学省が令和6年10月に公表した「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」に記載されている、令和5年度の小・中学校における不登校児童生徒の人数です。
文部科学省によると、この不登校の人数は過去最多であり、11年連続で増加しているとのこと。不登校の人数がこれほどまでに増加している原因はどうなっているのでしょうか。
今回は、文部科学省の最新データをもとに、下記の4点について解説します。
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もくじ
上記でも少しご紹介しましたが、令和5年度の小・中学校における不登校児童生徒の人数は、346,482人でした。令和4年度は299,048人であったため、1年で約50000人増加しています。
また、児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は37.2人という調査データも公表されています。
この人数を見ると、不登校というのはまったく珍しいものではありませんし、他人事とも言えません。では、データをもとに、不登校の人数や傾向、不登校の原因、さらには対策についてもう少し詳しく見ていきましょう。
中学生の不登校人数の多さが目立ちます。
さらに、不登校の児童生徒のうちの55.0%が90日以上欠席しているというデータもあります。
小・中学校は義務教育ですから、このような欠席日数であっても極論、進級に差し支えはありません。しかし、不登校の当事者であるお子さまや保護者様は、高校進学以降という将来的なことが心配になるでしょう。
出所:令和6年度「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」をもとにサブスタ作成
不登校の人数は、学年が上がるごとに増えていることが顕著です。
不登校の原因については次項でさらに詳しくご紹介しますが、一般的に学年が上がるごとに増える悩みと、不登校には関連があるようです。
文部科学省は、不登校の原因を以下の3つに分類しています。
原因の詳細は、以下の表の通りです。
出所:令和6年度「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」をもとにサブスタ作成
それぞれの不登校の原因のうち、代表的なものを掘り下げ、背景を考察してみます。
学校が原因の不登校では、「友人関係のトラブル」が大きな割合を占めています。
学校は、勉強の場であることはもちろんですが、同学年の友人と過ごしながら対人関係を学ぶ場でもあります。学年が上がるごとに友人も増え、その関係が複雑になってくるとトラブルも起こりがちですよね。
高学年になるにつれて、お子さまたちの間でグループが形成されたり、目には見えないグループ間の序列があったりするため、お子さまはときに過酷な環境を経験することもあります。「スクールカースト」と呼ばれるこの環境が苦しく、学校に通いたくなくなってしまうことは容易に想像ができます。
特に中学校入学以降は、「中一ギャップ」という現象が不登校に繋がりやすくなります。
中一ギャップとは、小学6年生から中学1年生に移行するにあたり、学習内容の難易度が上がることで勉強についていけなくなったり、教科担任制が始まるなどの環境の変化に上手く馴染めず、登校への意欲が下がってしまうことを指します。
部活動での上下関係に適応できないケースもあり、小学生よりも中学生の方が不登校になるきっかけが多いと言えるでしょう。
学校の先生が原因で不登校になる場合については、以下の記事で解説しています。
▶ 先生が原因で不登校になる場合は?怖い場合や会いたくない時の対処法を解説します
家庭が原因の不登校では、「親子の関係」が不登校の一番多い要因になっています。
たとえば、両親の離婚や再婚といった家庭の出来事もお子さまの不登校に影響するようです。家庭への心配事があまりにも大きいと、学校のことにまで意欲が向かなくなってしまいますよね。
また、ときにはお子さまと保護者様との関係や、お母様の特徴が不登校に影響を与えることもあります。
中には、保護者様が直接の原因になっているのではなく、保護者様とのかかわりの中で培われた価値観や性格が友人関係に支障をきたす原因になっているというケースもあるのです。
不登校になりやすい家庭の特徴につていは、以下の記事でくわしく解説しています。
▶ 不登校になりやすい家庭の特徴は?不登校にならない家庭に改善する方法
本人が原因の不登校の中で圧倒的に多いのは「無気力、不安」によるもの。
たとえば、成績不振や部活動の悩みなどで躓いたときに「何をやっても駄目だ、上手くいかない」と悲観的になってしまい、登校する気力が湧かない場合があります。
また、思春期を迎えたお子さまが進路やその先の将来に漠然と不安を抱え、何も手につかなくなるケースは珍しくありません。身体も心も急速に成長し、子どもと大人の狭間のような難しい年頃。
「思春期」、「青春」と言えば聞こえはよいですが、当事者のお子さまは大いに葛藤し、悩む時期でもあるのです。しかし、悩み、躓くという経験は誰しもが経験しますよね。
そして大抵の人は悩みながらも試行錯誤し、なんとか乗り越えていきます。では、乗り越えられる場合と乗り越えられなかった場合の違いは何でしょうか?
それは、それまでの人生の中で「失敗しても頑張れば上手くやれた」という、いわゆる成功体験や、保護者様や他者から認められたという自己肯定感が得られているかどうかが鍵となります。
つまり、“本人が原因の不登校”と一口に言っても、その背景には、育った環境や性格が大きく影響しているのです。
不登校がお子さまの「甘え」だと感じている方は、以下の記事を参考にしてください。
▶ 不登校は「甘え」と言われるのはなぜ?甘え依存型の原因や周囲の対応を解説します
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お子さまが不登校になってしまった場合、いち早く対応できる存在は保護者様です。間違った対応をしてしまうと、今の状況が悪化してしまう場合もありますので、お子さまに寄り添った最適な対応を行う必要があります。
不登校に陥ってしまったお子さまに保護者様ができる対処法については下記で解説します。
不登校の原因にかかわらず、不登校になったということはお子さまには登校するエネルギーがない状態といえます。まずはしっかり休息させ、心の健康の回復に努めましょう。不登校初期に登校を無理強いすることは好ましくありません。
学校に行きたくないという気持ちを認めてもらえなかった、受け止めてもらえなかったという経験は、お子さまの自己肯定感に影響をもたらします。中には、自己肯定感の低下によって不登校が長期化してしまうケースもあります。
不登校対応では、まずはお子さまの心の休息を最優先にしましょう。
不登校になった際は、学校に相談し、常に連携をとっておくことが必要不可欠といえます。
特に不登校の原因が学校にある場合、その原因をさらに追求したり解決したりしてもらうために、学校の対応が重要となります。
たとえば、不登校の原因がいじめである場合には、加害生徒への指導が必要になりますし、互いの保護者様を交えた話し合いの場が設けられることもあります。
また、不登校中の勉強面の不安を相談したり学習進度を教えてもらったりするためにも、学校とは連絡を取り合っておきたいですね。学校に困り事や不安を伝えておけば、スクールカウンセラーに繋いでもらうことも可能です。
保護者様においても、学校に相談することで不登校中のお子さまが家庭で孤立せずに済むという状況は、安心できるはずです。
不登校の原因がわかり、お子さまが徐々に回復してきたら、家庭外の活動にチャレンジしてみてもよいでしょう。塾やフリースクール、趣味の習い事など何でもよいので、外に出る機会を持つことが大切です。家に閉じこもっていては、親子ともにストレスが溜まってしまいますよね。
しかし、適度に外出することでストレスを発散できることがあります。お子さまにとって「学校」というのは、勉強だけでなく社会や対人関係を学ぶ場所であり、生活の大半を占める重要な場所といえます。したがって、不登校になると自分の居場所がなくなってしまったような、漠然とした不安が襲いかかることがあります。
しかし本当は、「学校」が全てではないですし、それ以外に居場所を作ることも十分に可能です。
そのことに、お子さまだけでは気づくことが難しい場合、保護者様がそっと助言してみてもよいかもしれません。居心地のよい居場所があることはお子さまの支えになり、登校再開への意欲に繋がることもあります。
不登校生にとって学校以外に居場所が必要な理由は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
▶ 不登校になると居場所はどうなる?居場所づくりが必要な理由を心理学的に解説!
ここまで、保護者様にできる不登校対応や取り組みについてご紹介してきました。
しかし、このように不登校の人数が増加している現状を打開し、不登校の児童生徒を支援するための取り組みは、国を挙げて進められています。
文部科学省はどのように不登校の問題にアプローチし、具体的にはどのような取り組みがされているのかご紹介します。
令和元年に文部科学省初等中等教育局長から全国の教育委員会や各都道府県知事に向けて「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知がなされました。
その内容を要約すると、以下のようになっています。
考え方としては、“学校登校”に強くこだわるのではなく、不登校であっても児童生徒が主体性を持って自分らしく生きていくことに重きを置かれています。ただし、不登校によって生じるリスクや不利益には十分気を付けるように、とも記されています。
この、不登校によって生じるリスクや不利益には、次項でご紹介するような方法で対応できる可能性があります。
また、令和5年3月に通知された「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について」(COCOLOプラン)という通知では、不登校児童が年々増加してく中で、より「学びの保証」に重点がおかれているのが分かります。
このように、様々な事情で学校に通う事ができなくなった生徒が、学校のサポートをより受けることができる未来が近づいています。
全国に30万人ほどいる小・中学生の不登校生の中で、約5万人の生徒が学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けられていない事実がありますので、より早くこの通知が各都道府県の教育委員会から各学校へ浸透して欲しいですね。
不登校特例校については下記の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は併せてご確認ください。
▶ 不登校特例校について徹底解説!5つの特徴やフリースクールとの違いを知ろう!
不登校によって生じるリスクとして代表的なものは、「勉強への遅れ」や「社会からの孤立」ではないでしょうか。
しかし、不登校中の勉強法は1つではなく選択肢が多様ですし、フリースクールや塾などを利用することで他者と交流する機会を得られる場合があります。
不登校への対応で重要なのは、スモールステップです。
休息や他者交流といった活動など、お子さまに合ったペースで対応をとることで、不登校によって生じるリスクを減らせる可能性があります。
再登校を目指すうえでの保護者様の対応については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
▶ 不登校にはどう対応する?再登校するまでに親子でできる対応方法をご紹介
今回は、不登校の人数に関する文部科学省の最新データをもとに、不登校の原因や対応まで幅広くご紹介しました。
不登校の人数を見ると、決して他人事ではなく、いつでも当事者になる可能性があるのだと感じますよね。しかし、上記に挙げたような原因や取り組みを少しでも頭に入れて置くことで、焦りや不安を減らせる場合もあります。
誰にでも起こりうる問題だからこそ、まずはきちんと正確な情報を知っておくと安心ですね。
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