
学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
情報を発信しています。

子どもが不登校になってしばらくすると「親としてできることはいろいろしてきたけれど、学校へは行かない」「これ以上、何をしたらいいのかわからない」と悩んでしまいますよね。
不登校が長くなるほど、親の不安や心配が大きくなるばかりか「なんとかしなければ」という気持ちになり、焦ってしまいます。
そこでこの記事では、不登校の子どもを持つ親のために「不登校でも大丈夫」という根拠を説明します。また、疲れた心が軽くなる考え方や方法についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
不登校の子どもがいる親が疲れる理由
不登校でずっとお子さまが家にいる状態だと、様子が気になって仕方なくなります。毎日お子さまのことばかり考えてしまうので、保護者様が疲れるのも無理はありません。
では、具体的にどんなことで疲れを感じているのでしょうか。ここでは、不登校のお子さまを持つ保護者様が疲れてしまう理由を解説します。
子どもへの接し方
多くの保護者様は、不登校のお子さまへの接し方に悩みます。なぜなら、学校へ行っているときと同じような接し方では、ますます状況が悪化していくからです。
以下のような状況が改善されず、悩み疲れてしまうのではないでしょうか。
- 無気力な子どもの様子
- 通院などが予定通りに進まない
- 自分自身の予定が立てられない
- 不機嫌にならないように、声かけに気を使う
- 1日中子どもと一緒
不登校になると、規則正しい生活ができないので思い通りに物事が進みません。お子さまのペースに合わせての生活になるので、保護者様は疲れてしまいます。
将来の不安
不登校は先が見えません。数ヶ月で学校へ戻る場合もあれば、何年も不登校が続く場合もあります。以下のように、お子さまと自分の将来を悲観してしまい、心に不安が重くのしかかった状態といえるでしょう。
- 不登校が続いて引きこもりになったらどうしよう
- 進級・進学できるのだろうか
- 1人も友達がいなくなったらかわいそう
- 将来自立できるだろうか
- 一生自分が面倒をみなければならないのか
学校へ行かず勉強もしていないお子さまの様子を見ていると、このように将来が不安になるのも仕方ありません。親としての責任感を強く感じるあまり、精神的に疲れが生じます。
まわりから理解してもらえない
お子さまが不登校になり、解決に向かうように努力してきても、一緒に住む家族に不登校の理解がないと疲れます。また、不登校の児童生徒が年々増えているとはいえ、学校側にも理解してもらえない場合もあります。
- 家族が不登校を受け入れない
- 学校の先生の理解がない
- 親の育て方が悪いと思われる
- 甘やかしていると思われる
このように、家族や学校の理解を得られない以外にも、まわりの目を気にしすぎて疲れる場合もあるでしょう。親が責められるような見方をされていないかが気になり、必要以上にストレスの負荷がかかります。
仕事とのバランス
保護者様が仕事をしている場合、働いている間は家の様子がわかりません。仕事をしていても、家にいるお子さまがどうしているか常に気になってしまいます。
不登校のお子さまが、小学校低学年の場合は、仕事そのものを続けるかどうか迷う場合もあるでしょう。在宅ワークであっても、仕事か子どもかの優先順位を考えなければならないケースは出てきます。
- どうしても仕事を休めないときに罪悪感を持つ
- 突然休んで会社に迷惑をかけてしまう
- 仕事に集中できない
- 子どもから連絡があってもすぐに帰れない
責任感の強い保護者様だと、子どもも仕事もどちらも一生懸命です。そのため、バランスを保つのに日々疲れている状態だといえるでしょう。
不登校でも大丈夫な理由
お子さまが不登校になると、責任感の強い保護者様は、育て方が悪かったと自分を責めてしまいます。また「普通と違うかもしれない」「何か問題があるのではないか」と不安になる場合もあるでしょう。
しかし、近年は不登校児童生徒の人数は増え続け、不登校は珍しくなくなってきました。とはいえ、当事者になると不安や心配は尽きないものです。
ここからは、不登校の実態を知って、学校へ行かなくても大丈夫な理由をお伝えします。
不登校は特別ではないから
文部科学省の「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によると、不登校は年々増加の傾向です。
参考:令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 74ページ
不登校になるきっかけはさまざまです。しかし、共通していえるのは、子ども達は「我慢」している点です。今の時代にそぐわない授業形式や校則が、昔からずっと続いて今に至ります。
学校という場所で窮屈な思いをしていたり、価値観の違いから人間関係に悩んだりしている子ども達もいるでしょう。
そのような子どもたちが、我慢の限界に達して学校へ行けなくなるのは、もはや珍しい時代ではないのかもしれません。
不登校は親のせいではないから
学校へ行けなくなったのは育て方が悪かったからと、保護者様は自分責めをしていませんか?どのような子どもでも、不登校になる可能性はあります。必ずしも親の育て方が悪かったからではありません。
不登校になる背景には、以下のようなさまざまな要因がからみ合っています。
- 友達関係や先生との相性
- 成績不振
- 進路に関する不安
- 進級時や進学時の不適応
- 無気力・不安
ネグレクトによる育児放棄からの不登校は、別の問題です。しかし、そうでない場合は、周囲から育て方を指摘されても気にする必要はありません。
不登校でも進学できるから
結論から言えば、不登校であっても小学校の卒業は認められ、中学校に入学できます。また、中学校で不登校でも卒業できます。
高校からは義務教育ではないので、進学するならば受験しなければなりません。中学校での出席日数と調査書が必要です。しかし、中学校で不登校の期間があっても、受け入れ態勢が整っている高校はあります。出席日数や調査書の内容を重視していない場合があります。
不登校から高校受験については、以下の記事でを詳しく解説していますので、参考にしてください。
参考:不登校から高校受験するときに知っておきたい3つのポイントとは?
不登校の時期があっても就職できるから
不登校のあとに、社会で活躍している方は数多くいます。歴史上の偉人から、政治家やスポーツ選手まで、さまざまな分野で活躍している方々がいます。
不登校の期間があるからといって、就職できないケースはありません。社会に出る意欲が出てきたら、未経験に特化した就職支援サービスなどを利用して就職活動もできます。不登校で得た経験や考えは、他者にはない強みとしてアピールできる場合もあるでしょう。
就職活動のポイントや対策については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せて読んでみてください。
参考:不登校でも就職することはできる?就職活動のポイントや対策をご紹介
学校以外でも学びの場所はあるから
学校だけが学びの場所ではありません。安心安全な場所で心と身体が休まり、エネルギーが回復してきたら、社会とのつながりを求めます。
しかし、不登校がいじめなどが原因だった場合は、学校へ戻るのが嫌なお子さまもいます。また、学校では学べない分野に興味を持つお子さまもいるでしょう。
学校以外の学びの場は多様化してきていますので、お子さまに合う環境を選択して学びを深めることができます。
- 学習塾や家庭教師
- フリースクールなど民間の支援施設
- 適応指導教室など公的な支援施設
- 地域のコミュニティーサークル
また、令和5年3月に文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策」であるCOCOLOプランを取りまとめました。
COCOLOプランでは、行政関係者や教育委員会が、地域社会やNPO、フリースクール関係者などと連携して取り組みを充実させるように求められています。今後、不登校児童生徒へのサポート体制が期待できるでしょう。
参考:COCOLOプラン
子どもは未来を切りひらく力を持っているから
不登校になり、無気力で何もしないお子さまをみていると将来が不安になる保護者様は多いと思います。不登校の期間は親子の信頼関係を築き直し、自己肯定感を育むような適切な接し方をしていくと、お子さまは必ず自ら動き出します。
- ありのままの子どもを認める
- 結果ではなく過程を褒める
- 他人と比較しない
- 否定的な言葉を使わない
- 正論ばかり言わない
このような接し方で、心からお子さまを信頼し味方でいると、自己肯定感が高まり自立の道を歩んでいくでしょう。どんなお子さまにも、未来を切りひらく力は備わっています。
疲れた気持ちを楽にする方法
不登校の親は、とにかくしんどいです。なぜなら、通常の家事に加え、食事も3食準備して、常に子どもの様子を注意深く見ているからです。
責任感が人一倍強いと、自分の時間を犠牲にしてでも、お子さまをサポートしなければと思う保護者様は多いのではないでしょうか。それは根気が必要ですし、負担もかかります。不登校が長くなるほど、精神的にも体力的にも疲れ果てて、体調を崩す方もいるでしょう。
不登校のお子さまを無理に元気にさせようと試みても、保護者様がコントロールできるものではありません。ですので、保護者様ご自身が、今までの常識や価値観を少し変えて気持ちを楽にしてみませんか。
ここからは、不登校の子どもを持つ親の気持ちが楽になる方法をお伝えします。自分自身がどのような価値観を持っているか、それが心の重荷になっていないか、ぜひ振り返ってみてください。
完璧主義をやめる
子育てを一生懸命真面目にしてきた保護者様は、何ごともすべて完璧にしようと思っていませんか。完璧主義の方には「⚪️⚪️しなければならない」「⚪️⚪️でなければならない」という思考が強い傾向にあります。
このような思考の長所は、以下の通りです。
- 仕事の精度が高い
- 責任感が強い
- 理想が高い
- 最後までやり遂げる
- 信頼を裏切らない
一方で、次のような短所もあります。
- 自分に厳しく常に否定的
- 他人にも厳しい
- 批判的になりやすい
- 柔軟性に欠ける
- 妥協できず時間がかかる
- 気持ちを切り替えられない
これらの短所を治すには、物事が達成できなかったとしても結果にこだわらないようにするといいでしょう。精一杯取り組んだ事実にフォーカスして、結果を手放すようにします。
常識を疑う
自分が持っている常識は、他人の常識には必ずしも当てはまりません。その逆も同じで、他人の常識は自分の常識とは異なるものです。
常識であたりまえと思っているほとんどは、思い込みや執着、単なるこだわりかもしれません。ですので、自分が信じて疑わない常識を疑ってみてください。
意識を外へ向ける
辛い気持ちを楽にするには、一旦思考をリセットしなければなりません。不登校はすぐに解決できません。ですから、保護者様も毎日同じことを考えて将来を悩み続けるのではなく、意識して気持ちを外に向け、リフレッシュするように心がけると疲れも軽減されるでしょう。
気持ちを切り替えるには、運動が効果的といわれています。ヨガやストレッチ、ウォーキングなど自分に合った運動を日常に取り入れてみてはどうでしょうか。また、気分転換に外食したり映画をみたり、自分の時間を優先するのも大切です。
1人で考え込まない
不登校は、保護者様1人で解決へ導くのは難しいかもしれません。家族内での話し合いで気持ちが軽くなるかもしれませんが、根本の解決へたどりつかない場合があります。
相談機関やサポート団体には、子どもの心理状態やこれまでの事例について、また適切な対応の仕方など専門的な知識のある方々が在籍しています。不安や悩みを解消するためには、1人で抱え込まないようにするのが大切です。
話を聞いてもらい専門家の指導を受けると、解決の糸口が見えて心の重荷が軽減できるかもしれません。また、同じ不登校の子どもを持つ親との交流も期待でき、心強くなるでしょう。
まとめ
この記事では、不登校の子どもを持つ親が、どのようなことに疲れてしまうのかを具体的に解説しました。また、どのようにして気持ちを楽にできるのかもお伝えしています。
- 不登校の子どもがいる親が疲れる理由
- 不登校でも大丈夫な理由
- 疲れた気持ちを楽にする方法
お子さまが不登校になってしばらくすると、保護者様は精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。しかし、それは永遠には続きません。不登校は、正しい接し方をすれば必ず終わりが来て、お子さまは自分の未来を切りひらいていくでしょう。
お子さまが不登校でも大丈夫です。保護者様は1人で悩み考え込まず、疲れた気持ちを楽にする方法を試してください。