
学習コラム
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保護者様が仕事に励まれる中でお子さまが不登校になると、保護者様はご自身が仕事をしていたことを責めたり、「すぐにでも仕事を辞めなければ」と思われたりするかもしれません。しかし、仕事を辞めることが不登校の問題に必ずしもよい影響を与えるとは限りません。
今回は、保護者様が仕事を辞めた場合と、続けた場合に起こりうる事態を想定し、詳しくご紹介します。
もくじ
子どもの不登校と親の仕事の関係
不登校のお子さまの人数は年々増え続けています。
不登校の原因はいくつか指摘されていますが、文部科学省が発表した最新データによると、「親子のかかわり方」が不登校の原因になっているケースが全体の8%存在します。
また、文部科学省の家庭教育に関する調査では、「仕事が忙しいことが理由で子どもと過ごす時間がない」と回答している保護者様が76%と多数存在することが明らかとなっています。
近年は共働き家庭が増加していますが、保護者様が仕事に追われすぎてしまうと、お子さまとの時間が減ってしまいますよね。
ですので、お子さまが不登校になった際に、保護者様が「仕事ばかりで子どもの変化に気づけなかったせいだ」「仕事を辞めた方がいいのか」と悩まれてしまうのも不思議なことではありません。しかし、仕事を辞めたからといって不登校が改善するかといえば、そうでもないのです。
次項では、お子さまの不登校によって仕事を辞めるケース・仕事を続けるケースで起こりうる事態について、それぞれご紹介します。
不登校と家庭問題の関連については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
不登児の親が仕事を辞めるとどうなる?
お子さまが不登校になったとき、日中自宅で過ごすお子さまの世話をしたり、お子さまと向き合う時間を作ったりするために「仕事を辞める」という選択をする保護者様もいますよね。このようなとき、仕事を辞めるお母様が多いのではないでしょうか。
仕事を辞めると、お子さまと過ごす時間は増えますが、新たな悩みや問題が発生するケースがあります。
具体的に起こると想定される事態をいくつかご紹介します。
子どもと過ごす時間が増える
保護者様が仕事を辞めると、お子さまと過ごす時間が格段に増えますよね。
これまで、日中は仕事に追われていた保護者様も、不登校によって自宅で過ごすお子さまと向き合う時間の“量”を確保することができます。
仕事も不登校のお子さまのケアも全力でこなすのは疲れてしまいますが、仕事を辞めれば、これまで仕事に費やしていた労力から解放され、よりお子さまに関心を向けることができるでしょう。
お子さまと会話する時間が増えれば、よりお子さまのことを知ることができ、不登校の原因が明らかになったり対応策の手がかりが得られたりする場合もあります。
経済的に苦しくなる
仕事を辞めると時間にゆとりができる一方で、ご家庭によっては経済的に苦しくなってしまう場合があります。
世帯年収の低下によって、生活水準を下げなければならない状況に陥ることも想定されます。
経済的な余裕は保護者様の心の余裕にも繋がりますし、場合によってはお子さまの教育にかけられる費用にかかわってくることもあるでしょう。不登校のお子さまのケアはもちろん大切ですが、保護者様が仕事を辞めても生活は守られるのかという点を蔑ろにするわけにはいきません。
ご家庭の事情に照らし合わせて選択できるとよいですね。
子どもが責任を感じる可能性がある
保護者様が仕事を辞めると、お子さまが「自分のせいで辞めたんだ」と責任を感じてしまう場合があります。
特に、保護者様が仕事に強く誇りを持っていたり、働くことを生きがいにしている場合、そのような保護者様の仕事への姿勢はお子さまにも伝わっているはず。
保護者様が仕事を辞めることによって、お子さまが責任を感じ、「親の大切なものを奪ってしまった」という意識を持つことは避けたいですね。このように責任を感じ、思い悩むことで不登校が悪化するケースもあります。
不登校児の親が仕事を続けるとどうなる?
前項では、お子さまの不登校によって仕事を辞めた場合についてご紹介しましたが、それとは反対に仕事を続けた場合、お子さまにはどのような影響があるのでしょうか。
今回は特に、親子関係や保護者様の心理ストレスに着目して、起こりうる事態をご紹介します。
子どもに過干渉にならずに済む
前項でご紹介したように、仕事を辞めて一日中お子さまと過ごしていると、ついお子さまの言動が気になり、目についてしまいますよね。お子さまの言動にすぐに口を出してしまったり、お子さまが自力で達成できることでも保護者様が先回りしてやってしまったりする機会も増えてくるでしょう。
しかし、日中仕事をしてお子さまと物理的に距離を取ることができれば、過度に干渉せず済みます。
不登校中のお子さまの様子は気にかける必要がありますが、かといってずっと“親子でべったり”が正しいかというとそうとも限りません。
仕事によって適度に距離を取り、お子さまにも自分と向き合う時間を設けることで不登校が好転するケースもあるのです。
親にとっての息抜きになる
お子さまが不登校になったときこそ、保護者様は心にゆとりを持ってお子さまと接することができるとよいですね。前項と重なりますが、仕事を辞めてお子さまと四六時中一緒にいたのでは、保護者様も煮詰まってしまいます。
保護者様はお子さまを守り育てる存在ですが、それ以前に一人の人間でもあります。不登校のお子さまと過ごす中で、イライラしたり疲れを感じたりすることは何ら不思議ではありません。
仕事を辞めてお子さまとじっくり向き合うという選択ももちろんよいですが、それによって保護者様が煮詰まり、イライラした態度でお子さまと過ごしてしまっては元も子もありませんよね。
不登校のお子さまのためを思い仕事を辞めたはずなのに、親子関係が悪化してしまっては不登校解決にもよいとは言えません。
保護者様が適度に仕事をし、家庭以外の社会と交流する機会を持つことで心にゆとりが生まれるのであれば、むしろその方が不登校のお子さまにとってもよい影響を与える場合もあります。
お子さまが自宅で一人で過ごすことになる
これは、家族構成やご家庭の事情によってさまざまですが、保護者様が仕事を続けることで不登校で自宅にいるお子さまが、日中一人で過ごすことになるご家庭もありますよね。
お子さまの年齢によっては、防犯面などの点からお子さま一人で過ごさせることに不安を抱かれる保護者様もいらっしゃるでしょう。
お子さまが自宅で安全に過ごせる環境が整っているのかどうかという点も念頭に置いた上で、仕事を継続するか否か検討できるとよいですね。
まとめ
今回は、お子さまの不登校と保護者様の仕事の関係についてご紹介しました。
保護者様が仕事を辞めた場合、お子さまと過ごす時間を確保できる一方、家計の変化や保護者様の心労によって親子関係に影響を与える場合があります。とはいえ、仕事を続けた場合、お子さまの年齢によっては「親が不在の間、自宅で一人で過ごさせてよいものか」といった新たな悩みも発生しますよね。
仕事を辞めた場合・仕事を続けた場合、どちらも一長一短ありますが、これらはご家庭の事情やお子さまの特性によっても随分変わってきます。
保護者様が仕事を辞めたからといって必ずしも不登校が改善するとも言い切れませんし、上記でご紹介したような事態を想定した上で、保護者様にとってもお子さまにとってもベストな選択ができるとよいですね。