
学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
情報を発信しています。

不登校のお子さまにはいくつかタイプがありますが、その中でも保護者様の頭を悩ませるのは、無気力によって不登校になっているお子さまではないでしょうか。
一見、無気力と不登校の関係性は分かりにくく、対応に悩まれてしまいますよね。
。ここでは、無気力による不登校の特徴と、お子さまが無気力を脱するまでの回復ステップについてご紹介します
無気力による不登校の特徴
「無気力で不登校ってどういう状態?」と保護者様は理解が難しく感じられることがあるかもしれませんね。
実は、文部科学省が発表した最新のデータによると、小中学生の不登校原因で圧倒的なのは「無気力・不安」によるもの。その割合は、不登校児全体の約50%を占めています。
「いろんなことに挑戦してみたい」「元気で前向き」といった、いわゆる“子どもらしさ”に欠けてしまった状態で起こる“無気力による不登校”。
次項では、無気力による不登校に該当するお子さまに見られる、いくつかの共通点をご紹介します。
参考:令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(文部科学省)
不登校の原因がない
無気力によって不登校になっているお子さまの最大の特徴は、「不登校の明確な原因がない」ということです。
たとえば、いじめや学力不安といった明確な理由があれば、周囲も不登校という状態に納得がいきますし、具体的な対応を考えることができますよね。
ところが、無気力なお子さまにはそういった原因がなく、「なんとなく面倒くさい」「なんとなく登校する気になれない」という心境である場合がほとんどです。
したがって、周囲からは「ただサボっている」と見られることも多々あり、そのような周囲の目に悩んでしまうケースも珍しくありません。
しかし、実はお子さま本人でさえも自分が無気力な原因が分からず、心の中で混乱していることがあるのです。
精神的に落ち着いて見える
無気力によって不登校になっているお子さまは、周囲から見れば落ち着いて見えることも特徴です。
学校での生活に特別不満・不安があって不登校になっているわけではないので、学校を強く拒絶したり攻撃的になったりすることは少ないでしょう。
極端に塞ぎ込むこともなく、保護者様と普段通り会話を交わすことができるお子さまが多いのも特徴です。
また、学校の先生からの連絡に応じられたり、友人の誘いにのって遊びに出かけることができるお子さまもいます。
ただし、「精神的に落ち着いて見える」というのは、何事にも関心が無く、心を揺さぶられることもないという状態の現れであるとも言えます。
そのような無気力状態が長期化すると、回復が困難になるケースも多いため、お子さま様子を注意深く見守る必要があります。
無気力な不登校児の回復ステップと対応
無気力によって不登校になっているお子さまには、不登校の明確な原因がなかったり、お子さまご自身も自分が不登校になっている理由が分からず混乱していたりすることが多いため、保護者様は対応に悩まれてしまいますよね。
しかし、無気力による不登校は、回復(登校再開)までにお子さまが歩むいくつかの共通したステップがあると言われています。
ここでは、無気力による不登校児が歩むとされる一般的な回復ステップと、保護者様にできる対応についてご紹介します。
前駆期
無気力な不登校児の多くには、「前駆期」と呼ばれる不登校の前兆のような時期があります。
前駆期には、「めんどくさい」「なんとなくだるい」といった言動が分かりやすく表出し、徐々に登校を渋るようになります。
友人や学校の先生の誘いには応じられるケースも多く、登校を渋る明確な理由がないため、なぜ無気力になっているのか保護者様が葛藤する時期でもあります。
保護者様は本格的な不登校を阻止しようと悩まれると思いますが、本人に無気力の原因は分からないため、責め立てるように接するのは好ましくありません。
深入りはせず、「何かあったらいつでも言ってね」というスタンスで関わりを持ちつつも見守る姿勢でいられるとよいですね。
進行期
「進行期」は、不登校が本格化する時期です。
中には、学校に行かないことを宣言したり、家に引きこもりがちで昼夜逆転生活になるお子さまもいます。
そのように保護者様との生活リズムが異なると、会話の時間や機会が減ってしまいますよね。
しかし、そのような時期であるからこそどんな話題でもいいのでお子さまと“普段通り”に接することが大切です。
このとき、責め立ててはいけないからと言って「全く干渉しない」と「見守る」を混同しないようにしましょう。
お子さまは無気力な中で一人思い悩み、不安を抱えている場合も多いので、保護者様の無関心が不登校を長期化・悪化させてしまうケースがあります。
休息期
「休息期」は、まだ登校することは前向きには考えられないものの、落ち着いて自分の現状や思いと向き合える時期です。
この時期は、生活リズムの乱れが落ち着き、保護者様と自然に会話ができるようになることが特徴です。
不登校によって生じるリスクを冷静に考えることができたり、自立に向けてやってみたいことを思いつくなど、生活に意欲的になったりします。
保護者様と徐々に自然な会話ができるようになる頃なので、不登校による学習の遅れの不安を吐露したり、「一人暮らしがしてみたい」といった、一見突飛とも思える発言をしたりするケースも珍しくありません。
このとき、保護者様はお子さまの心理状態を推察しつつ、その考えに至った理由などを話し合えるとよいですね。不安を語れたりやってみたいことができたりしている時点で、無気力を脱して前進している証と言えます。
“保護者様が頭ごなしに否定せず向き合ってくれた”という事実は少なからずお子さまに伝わるはず。話し合う中で“一緒に”解決策を模索し、考えを共有することが大切です。
不登校中のお子さまの心理状態理解については、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
回復期
「回復期」は、前項の「休息期」で思い描いたやってみたいことがさらに明確化し、意欲的に生活できるようになる時期です。
無気力状態を完全に脱し、登校についても前向きに考えられるようになるケースが多いです。
登校再開のためにどうしたらよいか悩み、中には「自分は学習がどれくらい遅れているんだろう?」といったような具体的な疑問を持つお子さまもいます。
保護者様は、お子さまもの自主性や意欲を認めながら寄り添えるとよいですね。お子さまの意欲を後押しできるよう、具体的な解決策を提案してみるのも手です。
たとえば、学習面ならば学習教材や塾の利用検討、登校再開ならばまずは別室登校に向けて学校と連携するなど、どうしてもお子さまだけではできない部分にそっと力を貸せるとその後がスムーズです。
無気力を脱したお子さまのその後や、不登校中の学習面での不安解消に役立つ情報については、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
まとめ
今回は無気力による不登校の特徴や、無気力状態を脱し回復するまでのステップのほか、保護者様にできる対応についてご紹介しました。
お子さまが無気力状態で不登校になったとき、保護者様は原因が分からないことへの不安やその後への焦りで思い悩まれてしまいますよね。
しかし、無気力であってもお子さまの状態に合わせて常に関わる姿勢を持ち続けることが大切です。
お子さまの気持ちを尊重し、ときには学校や専門機関と相談しながら、回復ステップを見守っていきましょう。