学習コラム

正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
情報を発信しています。

  • ホーム
  • 学習コラム
  • 不登校は母親が原因?親の特徴が子どもの性格に与える影響を詳しく解説

不登校は母親が原因?親の特徴が子どもの性格に与える影響を詳しく解説

不登校

2023/04/30

お子さまが不登校になると「母親が原因だ」という世間からの心ない言葉を耳にすることがあるかもしれませんね。しかし、不登校の原因が母親にあると決めつけることは適切ではありません。

とはいえ、不登校になるお子さまや不登校のお子さまをもつ保護者様にはいくつかの特徴がみられることも事実です。

 

今回は、不登校は母親が原因だといわれる背景や、不登校になるお子さまの特徴など幅広く解説していきます。

不登校は母親が原因?

お子さまが不登校になったとき、「その原因は母親にある」と断定することはできません。

それは、そもそも不登校はいくつもの要因が複雑に絡まりあって起こるものであり、原因を一つに特定することが難しいものだからです。また次項で解説するように、不登校の子どもを持つ母親には共通した特徴があると言われていますが、その特徴はどの保護者様も多かれ少なかれ持っているものといえます。

したがって、不登校の原因を母親と決めつけることはできません。

 

しかしながら、お子さまが不登校になると「原因は母親だ」「母親の教育不足だ」といった心ない言葉を耳にすることがあるかもしれませんね。

このような言葉は何を根拠に、どうして発せられるのか、世間が持つ“子育て”への根強いイメージをもとにご紹介します。

母親が原因といわれる理由①育児は母親の役割という風潮

不登校の原因が母親であるといわれる理由の1つ目は、社会の中に「育児子育ては母親の役割」という考え方が根強く残っているためだと考えられます。

近年では共働き家庭が増え、男性も育児休暇を取得しながら積極的に子育てに関わろうとする動きが盛んですよね。しかしながら、まだまだ女性の家事育児負担が多いのは事実であり、子育てをメインで担うのは母親だという風潮は残っています。

 

そうした中でお子さまの不登校といった重大な出来事・トラブルが発生すると、その責任の所在は「子育てをメインで担ってきた母親にある」と考えられてしまうのです。

母親が原因といわれる理由②子どもの性格形成への影響

不登校の原因が母親であるといわれる理由の2つ目は、母親の存在がお子さまの性格形成に影響を与えるためです。

お子さまが不登校になるにあたっては、お子さま自身の性格も少なからず関係しています。たとえば、自己肯定感の低いお子さまは成績不振や友人との些細なトラブルに躓きやすく、自己肯定感の高いお子さまに比べて不登校になってしまう確率が高いといえます。

そして、このお子さまの性格というのは、生まれ持った気質と育った環境(育てられた環境)によって形成されるもの。小さなときからの保護者様のかかわり一つ一つが積み重なって、お子さまの性格は出来上がっていきます。

つまり、お子さまが不登校になりやすい性格である場合、その性格形成に関わった母親にも原因があるとされ、「不登校は母親が原因」といわれるのです。

しかしこの考え方はやや飛躍しすぎており、上記の理由①同様、子育ての責任を母親だけに押し付けているに過ぎません。子どもの性格形成に保護者様が影響を与えるというならば、その責任は父親にも同等に課せられます。

「父親が原因」との意見をあまり耳にしないあたりに、日本の子育ての風潮や歪みが感じられるともいえるでしょう。

不登校の原因になりやすい親の特徴

不登校の原因は母親ではないとはいえ、不登校のお子さまを持つ保護者様にはいくつかの行き過ぎた特徴があるのも事実です。

ここでは、その具体的な特徴についてご紹介します。

過干渉・過保護

特徴の1つ目は、過干渉・過保護です。

保護者様がお子さまのことを常に気にかけ、トラブルから守ろうとすることはごく自然なことです。しかしそれが過度になってしまうと、お子さまが自分で問題に立ち向かったり乗り越えたりする機会を奪ってしまうことになります。

常に保護者様が守ってくれる環境が当たり前になっているお子さまは、学校でトラブルが起きたとき、どのように対処すればよいのか分からないのです。

小さな躓きや挫折が不登校に繋がることもあるため、過干渉・過保護になりすぎるのではなく、適度に距離を取りお子さまの自立を促すことも愛情といえます。

放任主義

特徴の2つ目は、放任主義です。これは、前項の過干渉・過保護とは対照的な特徴です。

保護者様としては、お子さまに関わりすぎないことでお子さまの主体性や自立心を育もうとされているのかもしれません。しかしそれが適切にお子さまに伝わっていなかったり、単に放置しているだけになっていたりすると、お子さまは自信をなくしてしまいます。

保護者様に関心を持たれないことに寂しさを感じ、悩みがあっても相談を躊躇ってしまうような親子関係は好ましくありません。

管理的

特徴の3つ目は、お子さまに対し管理的すぎることです。

これは、教育熱心な保護者様によくみられます。お子さまに対して強い理想を持っていたり高い基準を設定していたりするケースが多く、お子さまには過度な負担がのしかかります。特に、保護者様が叶えられなかった目標や夢をお子さまを通して叶えようとしている場合、親子の人生を混同してしまっているといえるでしょう。

お子さまにとって、自分の希望や意見を聞いてもらえない環境はストレスとなります。溜まりに溜まった不満が思春期時期に爆発すると、不登校に繋がるケースもあります。

批判的

特徴の4つ目は、お子さまに対し批判的すぎることです。

この場合、お子さまの努力や結果までの過程に目を向けず頭ごなしに叱りつけたり、お子さまの人格そのものを否定したりするケースがみられます。

お子さまにとって、本来であれば一番安全で安心できるはずの家庭で否定され続けることは、苦痛でしかないでしょう。そのような環境はお子さまの性格形成やその後の人生にまで影響を与えかねません。

プライドが高い

特徴の5つ目は、プライドが高いことです。

プライドが高い保護者様は、世間体を気にしすぎたり、他者に負けられないからとお子さまに過剰な要求をしたりするケースがみられます。特に小学校入学以降は学業やスポーツにおいて、成績という分かりやすい形でお子さまたちのレベルや差が感じられるため、保護者様の行動に拍車がかかることがあります。

しかし、お子さまにも得手不得手があり、それぞれ個性は異なります。きっとそれは保護者様も同じであるはずです。お子さまに過剰な要求ばかりをするのではなく、お子さまの好き・得意に目を向けることも大切です。

不登校になる子とならない子は何が違う?

では、上記のように不登校の原因になりやすい特徴をもつ保護者様に育てられたお子さまは、どのように成長するのでしょうか。

不登校になる子とならない子では、いくつかの能力や特徴に差があるとされています。

ここでは、不登校になる子・なりやすい子がもつ特徴について詳しくご紹介します。

自己解決能力の低さ

不登校になりやすいお子さまは、自己解決能力が乏しいことが特徴です。

これは、保護者様の過保護・過干渉や、管理的すぎる育て方が原因として挙げられます。前項でも少し触れましたが、保護者様のお子さまを守ろうとする行動が過度になると、お子さまが自分で考えてトラブルを解決する機会を奪ってしまうことになります。

困ったら保護者様が解決してくれる、保護者様の言う通りにすればよいという考えが沁みつくと、自分では何も解決できなくなってしまいますよね。このように育つと、学校でトラブル解決を自力で試みることもなく、解決できない=登校できないという結論にたどり着いてしまうことがあります。

心配性

過保護・過干渉気味な保護者様は、お子さまが失敗したりトラブルに巻き込まれたりすることから過度に守ろうとする傾向があります。そのような環境で育ったお子さまは失敗することへのハードルが高くなってしまいます。失敗するのではないかと心配するあまり、物事へチャレンジする意欲が消失してしまうのも自然なことですよね。

心配性によって学校でのトラブルも立ち向かうことなく「登校しない」という形で回避してしまうことがあります。

コミュニケーション能力の乏しさ

家庭内でお子さまが自分の意見を自分の口で発言する機会が乏しいと、コミュニケーション能力が低下する恐れがあります。

たとえば、過保護・過干渉な保護者様が先回りして行動しすぎると、お子さまは自分の口で要求を伝える必要がありません。また、日頃から保護者様がお子さまに批判的である場合、お子さまは自分の意見を口にすることに恐怖心を抱いてしまいます。

このようにコミュニケーション能力が適切に育まれないまま友人付き合いが始まると、そこで躓き、不登校のきっかけとなってしまうことがあります。

プライドの高さ

保護者様の過保護が行き過ぎていたり過剰に褒めたりする子育てをしている場合、お子さまのプライドが高くなってしまう可能性があります。

それは、家族の中で常に守られ最優先の扱いを受けてきたことから生じるものです。自分に自信がつくのはよいことですが、友人関係の中で折れることができなかったり自慢話が多かったりすると、煙たがられてしまいます。

嘘や言い訳の多さ

管理的な保護者様のもとで育ったお子さまは、嘘や言い訳が多い傾向にあるといわれています。

それは、保護者様がお子さまに完璧を求め、失敗を許さない環境にあることが影響しています。保護者様からの叱責を避けるために嘘や言い訳で失敗を誤魔化してしまうのです。

しかし、そのような回避方法が習慣化すると友人からの信頼も得られにくくなってしまいます。

承認欲求の強さ

批判的、放任主義な保護者様のもとで育ったお子さまは、愛情に飢えてしまいます。そしてその心の隙間を満たし、どうにかして保護者様に認められようと承認欲求が高まっていきます

次第にその欲求が家族以外にも向けられるようになると、過度に友人に依存してしまうなど、トラブルが起きやすくなります。

友人関係のトラブルは不登校のきっかけとなりやすいため、注意が必要です。

不登校は母親が原因だと感じたときの対応

保護者様が、「不登校の原因は自分にあるのかもしれない」と感じたときにできる対応・するべき対応は何でしょうか。

ここでは、不登校の原因を自覚し、お子さまのために改善を試みる保護者様に向けた対応について解説します。

問題を受け入れる

不登校の原因が保護者様(特にお母様)にある場合、まずはその事実を受け止め、保護者様にある問題を受け入れることから始めましょう。

不登校を改善させるためには、保護者様にある問題を適切に理解し、整理することが大切です。これまでの人生で培われた価値観を変えることは容易ではありませんが、お子さまの今後のためには保護者様自身の自己理解が必要となります。

自分を責めすぎない

保護者様自身の問題を受け入れることができたとしても、自分自身を責めすぎる必要はありません。保護者様もまた一人の人間ですし、保護者様が前に進むことができないとお子さまも先には進めません。

お子さまに加え、保護者様も塞ぎ込んでしまうというケースは避けたいものです。

子どもとの会話を大切にする

保護者様自身の問題が自覚できたら、今一度お子さまと会話の機会を多く設けましょう。今までは保護者様の価値観の中でお子さまの話を理解していたかもしれませんが、問題を受け入れることでまた違った角度からお子さまの話を聞き、解釈できる可能性があります。

また、これまで見えていなかったお子さまの本心に気づけることもあるでしょう。

第三者に相談する

保護者様にある問題を明確化したり改善したりするために、学校の先生、カウンセラー、精神科医といった第三者に相談することをおすすめします。

そもそも、不登校を親子だけで解決するのは難しいですし、煮詰まってしまうこともあります。保護者様にある問題の有無にかかわらず、適切な専門機関を利用することが不登校改善への近道といえます。

まとめ

今回は、不登校は母親が原因であるといわれる背景や、実際に保護者様が不登校児に与える影響について解説しました。

不登校の原因を一つに絞ることは難しいですが、その要因の一つに保護者様の存在が考えられるケースはあります。保護者様が適切にご自身の問題を自覚し、受け入れることが不登校改善への第一歩になるといえるでしょう。

 

今回の記事に関連した「不登校児の母親の特徴」をまとめた記事は、以下からご覧いただけます。

不登校の子どもをもつ母親の特徴は?子どもに与える影響や対策もご紹介