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高校生で不登校になったらどうする?理由や親ができる対応の仕方を解説

不登校

2024/05/28

中学校で不登校だったお子さまがいる保護者様は「高校生になれるのかな…」「高校生でまた不登校になったらどうしよう…」と悩んでいませんか。今や社会的な問題となっている子どもの不登校は、小中学生だけではありません。義務教育ではない高校生の不登校は、留年や退学の可能性があるため保護者様の不安も大きいのではないでしょうか。

不登校は、初期段階から適切に対応するのが重要です。しかし、保護者様の多くは「高校生の子どもにどう接すればいいのか分からない」とお子さまの対応に戸惑いを感じているのが実情です。

この記事では、高校生の不登校で悩んでいる保護者様に向けて、不登校の原因や対応の仕方を解説します。また、将来の選択肢についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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高校生の不登校の現状

高校生の不登校の現状

年々増加している不登校の小学生や中学生に加え、高校生の不登校も深刻な社会問題となっています。中学生のときから不登校で、心機一転し高校へ進学しても再び学校へ行けなくなるお子さまもいるでしょう。

ここでは、文部科学省の調査などから高校生の不登校の現状をお伝えします。

高校生の不登校者数

文部科学省の調査によると、令和3年度の高等学校における不登校の生徒数は50,985人でした。1,000人あたりの不登校生徒数は16.9人です。

参考:令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

小中学校の不登校児童生徒数に比べると、高等学校の不登校生徒数が少ないのがわかります。これは、中学校で不登校だった生徒が高校へ進学しなかった理由が挙げられるでしょう。また、通信制高校などは調査対象外のためとも考えられます。

中途退学の現状

高校を中退する理由には「もともと高校生活に熱意がない」や「人間関係がうまく保てない」など学校生活に適応していない割合が多くを占めています。退学する学年は高校1年が最も多く、全日制より定時制の方が多い結果になっています。

参考:高校生の不登校・中途退学の現状等

高校生が不登校になる理由

高校生が不登校になる理由

高校生が不登校になる理由は1つとは限りません。理由は多岐にわたり、複合的な要因が絡み合っているケースがほとんどでしょう。不登校になる理由は「学校」「家庭」「本人の心身」の要因に分けられます。ここでは、それぞれの要因を詳しく解説します。

学校に関する要因

学校の雰囲気があわなかったり校則が苦手だったり、学校に馴染めず不登校になる高校生は多いものです。入学する前は高校生活に期待が膨らんでいたのに、入学すると想像と違う現実にがっかりするケースもあります。理想と現実のギャップが埋められず、学校生活にストレスを抱えてしまうでしょう。

ほかには、以下の要因が挙げられます。

  • 入学や進級するときの不適応
  • 友達関係をめぐる問題
  • 学業不振
  • 進路の不安
  • 部活動の不適応
  • 教職員との関係をめぐる問題
  • いじめ

このように、学校生活におけるストレスが不登校の直接的な原因となる場合があります。高校になると、部活動の練習が中学のときより厳しく感じることもあるでしょう。また、大学受験が過度なプレッシャーになって心身が疲弊する生徒は多いと考えられます。

家庭に関する要因

学校だけではなく、不登校には家庭内の環境も大きく影響します。家庭がお子さまにとって安心できる場所でなければ、学校でのストレスに加え家でもストレスを抱えることになります。高校生が不登校になる家庭内の問題は、具体的に以下が挙げられるでしょう。

  • 親子の関わり方
  • 家庭における生活環境の変化
  • 家庭内の不和

親子の信頼関係や夫婦関係の悪化、経済的な問題などが不登校のきっかけとなる場合があります。特に、保護者様のお子さまに対する過干渉や無関心は、小中学生だけでなく高校生の不登校にもつながる大きな要因といえるでしょう。

本人の心身の要因

発達障害や適応障害など、本人の心身が要因となって高校生活を困難にするケースも考えられます。それ以外にも、以下の理由が挙げられます。

  • 無気力
  • 不安
  • 生活リズムの乱れ
  • 非行

自己肯定感の低さやコミュニケーション能力の低さも不登校の背景にあるかもしれません。無気力で不登校になっている場合は、お子さまの環境全体を丁寧に見つめ直し、不登校に至った経緯を探るのが重要です。

高校生と中学生の不登校の違い

高校生と中学生の不登校の違い

中学生で不登校の期間があっても、高校受験をして進学するお子さまはいます。心機一転して高校生活がスタートし、保護者様も安心したことでしょう。しかし、また何かしらのきっかけで学校へ行けなくなるケースがあります。

高校生が不登校になるのは、不登校に至る背景が中学生の場合とは異なる部分があります。その違いは、いったいどのようなものがあるのでしょうか。

発達段階の違い

中学生の多くは思春期前期にあたり、心身ともに大きな変化の時期を迎えます。一方、高校生の多くは思春期後期に入ります。この時期は、自我の確立が進む重要な時期です。このように発達段階の違いも不登校の現れ方や対応策に大きな影響を与えます。

中学生は身体的な変化に戸惑いを感じがちで、感情の起伏が激しくなります。そのため、些細な出来事がストレスの種となり不登校に陥りやすい傾向にあるでしょう。一方、高校生は物事を論理的に捉えられるようになり、将来への不安から不登校に至るケースがあります。

進路選択の影響

中学のときは、将来への展望は高校生に比べると漠然としていたかもしれません。しかし、多くの高校生は、大学受験や就職を控え将来の夢をより明確にしていきます。そのため、中学生のときよりも進路選択のプレッシャーが大きいのは想像できます。

はっきりした夢や目標を持てないまま進路の決断を迫られると、不安を抱えてしまうのも無理はありません。

対人関係の変化

公立の場合は、中学校は小学校からの持ち越しの人間関係が多いため、まわりの友達が大きく変わるケースはありません。しかし、中学校から高校へ進学すると、新しい人間関係を構築する必要が出てきます。コミュニケーションスキルの未熟さや対人不安から孤立してしまい、不登校に陥る場合も考えられます

「自分は自分、他者は他者」の感覚や「自分とは違う考えも受け入れる」気持ちが育たなけば、友達関係のトラブルは多くなります。

高校生の不登校の初期対応

高校生の不登校の初期対応

高校生の不登校は、長期化すると立ち直りが難しくなる傾向にあります。だからといって、保護者様が頭ごなしに叱って、無理に学校へ行かせようとすれば逆効果でしょう。

不登校初期の対応こそ、保護者様はお子さまに寄り添ってじっくり話を聴き、受け止める姿勢が大切です。ここでは、高校生のお子さまが不登校になったときの初期対応についてお伝えします。

親ができる初期対応とは?

まずはお子さまの気持ちに共感的に耳を傾け、不登校の背景にある本当の原因を探る必要があります。その際、お子さまを非難したり説教したりするのは絶対に避け、気持ちを受け止める姿勢を心がけましょう。一時的に休ませて、お子さまの心と身体に休養を与えるのは有効な対処法の1つです

学校との連絡を密にする重要性

不登校の対応において、学校側との密な連携は欠かせません。特に高校の場合は、中学校とは違って出席日数が進級に関わります。担任やスクールカウンセラーとお子さまの様子を共有し、必要があれば面談して助言を仰いだり相談したりするのも大切です。

親自身の心理面も見直す

お子さまが不登校になったら、保護者様は自身の価値観や子育てのあり方の見つめ直しが求められます。過干渉や無関心が不登校の一因となっている可能性もあるでしょう。そうした側面に気づき、お子さまとの関係性が改善されると親子の信頼関係も深まります。

子どもの不登校は、親にとっても辛い経験です。特に母親は「子育てを間違えて自分のせいで不登校になった」と自分を責めてしまいがちです。しかし、不登校は決して保護者様だけのせいではありません。保護者様もストレス発散の機会を設けるなど、自分のメンタルヘルスケアにも気を配る必要があります。

子どもが不登校になったとき、親が自分自身にできることについてはこちらの記事でくわしくお伝えしています。

▶︎不登校の子どもに親ができることは?親が自分にできる心のケア方法も解説します

高校生が不登校から復帰するためには?

高校生が不登校から復帰するためには?

不登校からの復帰は、お子さまにとって精神的にも肉体的にも大きな負担がかかるでしょう。そのため、お子さまのペースにあわせて焦らず復帰を進めていくのが何より大切です。

ここでは、高校生が不登校から復帰するために保護者様や家族、学校はどのようなサポートができるかお伝えします。

保護者や家族ができること

まずは、不登校になったお子さまの気持ちを受け止めるのが重要です。学校へ行けないのを非難したり過度に勉強のプレッシャーをかけたりせず、お子さまの立場に立って寄り添う姿勢を心がけましょう。

同時に、家庭内で不登校のお子さまへの対応を同じにする必要があります。なぜなら、母親と父親の考えが異なったり、同居する家族から不登校の理解がなかったりするとお子さまはストレスを抱えてしまうからです。不登校についての理解不足や考え方の違いから、家族が対立していては何も解決できません。

両親をはじめ、同居する祖父母、兄弟のそれぞれの立場から不登校のお子さんに対してアプローチの仕方が違うのは当然です。しかし、最終的にお子さまの幸せを心から願っているならば、話し合いを重ねて家庭内の環境を整えるのが大切です。

学校や教師ができること

不登校の期間が長期に渡る場合は、学習の遅れが気になります。そのため、学校に復帰した際は、学習支援が必要になるかもしれません。また、精神面でのサポートとして、スクールカウンセラーとの定期的な面談も検討するといいでしょう。学校復帰に向けてステップを細かく設定し、お子さまに合わせた柔軟な対応が不可欠です。

カウンセリングなど専門家の関与

お子さまの心の内面に起因する不登校は、カウンセリングなどの専門家の支援を検討するのも大切です。スクールカウンセラーなど公的機関の専門家だけでなく、民間のカウンセラーの活用も検討するといいでしょう。症状にあわせた適切な心理療法を受ければ、お子さまの不安や自己否定的な感情を改善し、元気を取り戻せるはずです。

不登校こころの相談室では、専門知識のある有資格カウンセラーが、適切なステップを踏んで不登校解決をサポートしてくれます。心理学のプロである「公認心理師」や「臨床心理士」によるカウンセリングによって、不登校の根本解決が期待できるでしょう。

不登校こころの相談室

不登校のお子さまの接し方に迷っていませんか?

  • どんな声かけをしたらいいの・・・
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不登校のお子さまを「見守る」だけでは元気になりません。
大切なのは再登校だけではなく、お子さまの気持ちを解決して自分らしく生きる道を見つけることです。
有資格の専門家が、カウンセリングでお子さま一人ひとりに合ったゴールを見つけます。

不登校高校生の将来の選択肢

不登校高校生の将来の選択肢

不登校の高校生にとって進路の選択は大きな課題です。中学生のときは漠然としていた将来も、高校生になれば現実味をおびてきます。単位修得のために精神的なストレスを抱えたまま復学すれば、再び不登校になるリスクもあります。また、十分に準備ができていないまま転学したり就職したりするのも避けるべきでしょう。

不登校の高校生にとって、具体的に進路を決めるのはプレッシャーが伴います。しかし、どのような道を選んでも納得できるように、お子さまが自分で進路を決断するのが重要です。

学校復帰

将来の選択肢が広がるのは、学校に復帰して高校を卒業することです。高校を卒業できれば、就職や大学進学などそのあとの進路選択の幅が格段に広がります。しかし、不登校からの復帰には家族や学校などまわりからのサポートが不可欠なうえ、何より本人の「卒業したい」強い意思がなければ難しいでしょう。

通信制高校

高校への復帰が難しい場合は、通信制の高校に転学するのも1つの選択肢です。通信制では自宅で課題に取り組み、一定の単位を修得すれば卒業資格が得られます。授業の出席は必須ではありません。しかし、課題は自分自身で熱心に取り組む必要があるでしょう。

中退

高校で不登校になった場合、やむを得ず中退を選択するケースもあります。中退した場合は、以下のような進路があります。

①中卒者向けの専門学校

中卒の生徒を受け入れる専門学校に進学し、資格取得や就職先の確保を目指すルートがあります。看護師や介護福祉士、自動車整備などの国家資格が取れる専門学校も多数あります。

②高卒認定試験の受験

高卒認定試験に合格すれば、高卒資格が得られます。高校資格が得られると、大学進学や就職の選択肢が広がるでしょう。ただし、試験合格には十分な学力を要するため、勉強する環境を整える必要はあります。

③就職する

高卒資格を持たずに正社員で就職するのは、厳しい状況かもしれません。しかし、研修期間を設けている会社もあるので、研修後に採用される場合もあるでしょう。また、アルバイトなどから経験を積み就職するのも可能です。

親子のコミュニケーションを大切に

親子のコミュニケーションを大切に

不登校は、親子関係に大きな影響を及ぼします。お子さまが不登校になって、家庭内におけるコミュニケーションの機会が持てず親子の溝が深まってしまう例も少なくありません。親子関係を良好にしなければ、お互いに理解し合えないまま不登校は長引いてしまう可能性があります。

保護者様は、不登校になったお子さまの立場に立ち、お子さまの心の声に耳を傾けて共感する姿勢が何より大切です。ここでは親子のコミュニケーションの大切さをお伝えします。

開かれた対話を心がける

不登校のお子さまが、保護者様を拒否して心を閉ざしてしまっている状況だと、なかなか親子関係は改善されません。ただ見守っているだけでは、時間ばかりが過ぎてしまい不登校の解決の糸口は見つからないでしょう。

保護者様は、お子さまの気持ちに寄り添い、受容的な態度で接することが大切です。お子さまに対して腫れ物に触るような接し方ではなく、言葉を選びながらも素直な気持ちを伝え合う習慣を持つように心がけましょう

共感的な理解を示す

不登校のお子さまは、例外なく自己否定が強い傾向にあります。そのため、学校へ行かないお子さまを批判したり非難したりしていてはますます状況は悪化するだけでしょう。「苦しかったね」「それは辛いよね」といった言葉で共感を心がければ、お子さまは安心感を持ち徐々に心を開いてくれます

保護者様が共感できるようになると、お子さまは「自分の気持ちをわかってもらえた」という体験ができ心が癒されていきます。感情をそのまま受け止め認めてあげることで、お子さまは保護者様を信用し自信を取り戻していくでしょう。

親子の信頼関係を修復する

親子の信頼関係が築かれていないと、お子さまの精神面は不安定で不登校が長引く可能性があります。お互いに理解できず反発しあい、親子の溝は深まる一方でしょう。信頼関係を取り戻すには、お子さまへの接し方や保護者様が持ち続けている価値観を見直す必要があります

高校生のお子さまと信頼関係を取り戻すには、過干渉な接し方は控えなければなりません。良かれと思ってのアドバイスや提案も必要ありません。正論を押し付けたり否定したりせず、じっくりと話を聴いてお子さまの本心に気づくことが大切です。

今まで当たり前のように口出しや先回りをしてきた保護者様は「待つ」姿勢を心掛けるといいでしょう。

不登校の再発を防ぐための工夫

不登校の再発を防ぐための工夫

不登校から一旦立ち直っても、再発のリスクは常に存在します。そのため、再発を防ぐための不登校の生徒を取り巻くすべての関係者が、あらゆる角度から継続的に支援する取り組みが欠かせません。

不登校の高校生が再び不登校にならないようにするためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。

学校やカウンセラーとの連携を強化する

不登校からの復帰後は、担任やスクールカウンセラーと緊密に連携を取り続ける必要があります。なぜなら、不登校の再発を防止するには、生徒の不安の兆候に早期に気づいて適切に対応しなければならないからです。お子さまの小さな変化に気づくためには、保護者様と学校側が定期的に面談し、お子さまの状況を共有しておくのは大切でしょう。

生徒と教師との円滑なコミュニケーション

生徒と教師の信頼関係は、不登校の再発防止において非常に重要です。学校の教職員は、不登校から復帰した生徒の不安やストレスを受け止め、常に寄り添う姿勢でいるのが大切です。特に担任は、生徒の小さな変化にも敏感に気づき、保護者やスクールカウンセラーと連携しながら対応する必要があります。

一方、生徒自身も授業で分からない内容や不安に思ったことは、積極的に相談するよう心がけましょう。教師と生徒との間で円滑なコミュニケーションができれば、不安は早期に払拭でき不登校の再発は防げます

日々の生活を大切にする

不登校から復帰した生徒にとって、規則正しい生活リズムの維持は大切です。十分な睡眠や栄養のある食事、適度な運動を日々の生活に取り入れるには保護者様のサポートが欠かせません。

また、学校生活以外における趣味の時間も大切にしましょう。心身ともに健全な落ち着いた日常生活を大切にしながら少しずつ自信を取り戻していけば、不登校の再発を過度に心配する必要はありません。

まとめ

義務教育ではない高校生の不登校は、留年や退学の可能性があるため保護者様の不安は大きいものです。不登校からの立ち直りは、一筋縄ではいきません。しかし、例え高校生で不登校になっても、通信制高校への転校や高卒認定試験を受けるなど、学校復帰以外にも将来の選択肢はあります。

保護者様や家族、学校、専門家による精神面でもサポートがあれば、高校生で不登校になっても必ず道は開けるでしょう。また、一番近くにいる保護者様が、お子さまの気持ちに寄り添い信頼関係に基づいたコミュニケーションができれば、不登校を過度に心配する必要はありません。

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監修

サブスタ代表

森岡峻平

もりおか・しゅんぺい。株式会社lean earns代表取締役。学習アドバイザー、不登校カウンセラー。
2011年、家庭教師派遣事業を展開する教育系グループの営業責任者に就任し、3年間従事。2015年に教育ベンチャーを起業して以来、一貫して小・中学生向けICT教材の企画・開発に携わり、無学年式のオンライン学習教材「サブスタ」を開発。
また、昨今不登校生が増え続ける中、全国の通信制高校と連携し、サブスタを通じて出席扱い制度普及の活動を行っている。

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