学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
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不登校の中学生のお子さまの中には、朝起きられないことが悩みの種である方がいるのではないでしょうか。不登校の原因の中には「生活リズムの乱れ」があり、朝起きられないことは決して看過できる問題ではありません。
では、中学生が朝起きられない原因は何でしょうか。
こういった話題ではたびたび「起立性調節障害」という言葉を耳にしますが、その他にも原因があるのでしょうか。
今回は、中学生が朝起きられないという問題について、原因や治し方を取り上げ解説します。
起立性調節障害については以下の記事でくわしく解説していますので、併せてご確認ください。
▶不登校と起立性調節障害の関係 | 学校に行きたいのに行けないのはなぜ?
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もくじ
中学生が朝起きられないのは病気かというと、そうであるとは限りません。詳しくは後述しますが、病気である場合もそうでない場合もあるということです。
文部科学省が発表した令和2年度のデータによると、中学生の不登校の原因のうち「生活リズムの乱れ(朝起きられないなど)」は26%を占めています。つまり、この年頃のお子さまが朝起きられないことで悩むのは決して珍しいものではないのです。
中学生が朝起きられないのが病気かどうかについては、お子さまの状況や症状によって判断が分かれるため、一度病院を受診するのがおすすめです。
(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」)
中学生が朝起きられない原因の中には病気も挙げられますが、それは必ずしも体だけに問題があるのではなく、心の病気であるケースも想定されます。
以下では、中学生が朝起きられない原因について、代表的なものをご紹介します。
中学生が朝起きられない原因の1つ目は、睡眠の問題です。
勉強や部活動、習い事などによって就寝時間が遅く、単に睡眠が足りていないケースでは、生活の状況を見直すことであっさりと事態が好転することがあります。
近年では、夜遅い時間までスマートフォンを使っているために就寝時間が遅くなっているお子さまも目立ちます。スマートフォンをはじめとした電子機器から発生するブルーライトを長時間浴びると寝つきが悪くなったり、睡眠の低下したりするため、就寝前の使用は避けるべきです。
このようなケースでは、朝起きられない原因を病気だと決めつけるのは好ましくないでしょう。
上記のような理由がないにも関わらず、なかなか寝付けない、日中非常に眠くなるなどの問題で悩んでいる場合は、後述する起立性調節障害や睡眠障がいなどを疑ってみる必要があります。
お子さまの場合は、小児科や児童精神科を受診することで改善に繋がる可能性があるため、早期の対応が鍵となります。
中学生が朝起きられない原因の2つ目は、心理的要因によるものです。
心理的要因とは、不安や悩みなど心の中にあるストレスが睡眠に影響していることを指します。
中学生は、非常に多感であり難しい年頃でもあります。
一見楽しく過ごしているように見える学校生活も、勉強、部活、友人関係などさまざまな場面で悩みを抱えていたりストレスを感じていたりする可能性があります。
たとえば、中学生になった途端に朝起きられなくなったのであれば、環境の変化がストレスとなっている可能性も考えられます。場所の変化、友人の変化、教科担任制をはじめとした学習環境の変化は大人が思っている以上に負担となるものです。
同時に、部活動ではこれまで経験したことがなかった上下関係に揉まれ、気を遣うこともあり、知らず知らずのうちに疲れが溜まりやすくなります。
また学習の科目が増え、難易度も徐々に上がる中で高校受験へのプレッシャーを感じることもあるでしょう。
こういったお子さま自身も自覚できていないストレスは、無意識のうちに体や生活に現れることがあり、その一つが「朝起きられない」という現状である可能性は否定できません。
特に、日頃から真面目であったり繊細な性格のお子さまは心理的ストレスの影響を受けやすいため、注意が必要です。
中学生が朝起きられない原因の3つ目は、起立性調節障害によるものです。
朝起きられないことで悩んでいるお子さま・保護者様の多くが、一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
近年では、不登校の中学生のうち、およそ3~4割程度のお子さまが発症していると言われる起立性調節障害について、詳しく見ていきましょう。
起立性調節障害とは、自律神経系の働きのバランスが崩れることによって起こるものです。
小学校高学年ごろから発症するケースが多いものの、稀に大人が発症するケースもみられます。
主な原因は遺伝的なもの、思春期特有のホルモンバランスの乱れ、ストレスなどが挙げられます。ほとんどのケースが数か月~数年以内に完治するとされているものの、思春期(学生期間)の発症によって、学校生活に多かれ少なかれ影響が出やすいのが特徴です。
起立性調節障害にはさまざまな症状がみられますが、自分が起立性調節障害であるかどうかは、セルフチェックによってある程度判断が可能です。
出典:一般社団法人 起立性調節障害改善協会「起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト」
これらの項目のうち、3つまたは強い症状が2つ以上該当し、かつ現在ほかの病気にかかっていない場合、起立性調節障害を強く疑うことができます。
日常生活に支障をきたすほどの症状が見られるものの、自己判断が難しい場合は病院を受診しましょう。
病院を受診後、医師の判断によって薬物療法(薬が処方されること)が行われるケースがあります。
ただし、起立性調節障害は薬だけでの改善は難しく、並行して日常生活の見直し・工夫が必要です。具体的には、以下のような注意が必要とされています。
参考:一般社団法人 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)」
起立性調節障害は身体の疾患であり、根性や気合いだけで改善が望めるものではありません。お子さま・保護者様ともに正しく理解し、適切な治療を受けることが重要です。
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上記のような原因によって朝起きられない日々が続くと、不登校になりやすくなります。
必ず不登校になるというわけではありませんが、そもそも朝起きて学校に向かうことが難しいため、欠席が増えるのは事実です。
また、日常的な遅刻や欠席はお子さまの登校意欲低下に拍車をかけます。
「途中から登校するのは恥ずかしい」といった気持ちや、「今更行ったところで意味がない」といった無気力さが不登校に繋がるのです。
朝起きられないことが不登校に繋がるのは、前述した不登校の原因「生活リズムの乱れ」が26%も存在することからも明確でしょう。
したがって、中学生のお子さまの「朝起きられない」という問題は決して軽視できるものではないのです。
起立性調節障害と不登校の関連については、以下の記事でくわしく解説していますので参考にしてください。
▶起立性調節障害で不登校になったらどうする?関連性と親ができるサポートについて
では、中学生のお子さまが朝起きられないときの治し方はあるのでしょうか。
日々、朝起きられないお子さまをサポートする保護者様は、対応に苦慮されているのではないでしょうか。
以下では、中学生のお子さまが朝起きられないときの治し方や対応について、幅広く解説します。
朝起きられない原因が病気かどうかに関係なく、生活リズムを整えることが大切です。ありきたりなことかもしれませんが、早寝・早起きを心がけた生活を送るようにしましょう。
これらは、多くのお子さまが幼少期から心がけてきた行動かと思いますが、特に中学生以降は生活の変化などから継続が難しくなってくるものです。
今一度生活リズムを見直すと同時に、家庭全体で、それが当たり前となるような生活を送ることが大切です。
夜きちんと眠くなるためには、日中の活動が欠かせません。これは、生活リズムを整えることにも繋がります。運動はもちろんのこと、人と会話すること、勉強のように頭を使うことも活動の一種であり、適度に疲れるものです。
学校に通っているお子さまはそれだけで適度に疲れるものですが、不登校のお子さまの場合は意識して体を動かすなど、できることから取り組む必要があります。
散歩、友人と遊ぶ、趣味に勤しむなど、どんなことでも構いませんので日中に活動する理由を作るよう意識してみましょう。
朝起きられないお子さまを無理に起こさないことも重要なポイントの一つです。
保護者様は、お子さまがいつまで経っても起きてこない焦りや苛立ちから無理に起こそうと躍起になることがあります。
病気と診断されていない・される前であれば、まさか朝起きられないのが病気のせいだとは考えられないでしょうし、夜更かしなどによる影響や怠けだと考えてしまうのは自然なことです。
また、保護者様が強く起こすことでなんとか起床し、登校できるのであれば、やはり無理にでも起こすことが効果的だと考える保護者様もおられることでしょう。「頑張って起こせば何とかなる」という状況は、一時的に問題が解決しているようにも見えるため、結果的に問題の先送りとなっている場合もあります。
しかし、お子さまを無理に起こすのはかえって逆効果であり、長い目で見ると問題を悪化させるケースがあります。
お子さまにとって、無理に起こされることはストレスとなり、自律神経のバランスの乱れに繋がることがあります。
同時に、保護者様から意に反した対応をとられたことに苛立ちを感じ、親子の関係が悪化する事態も想定されます。本来、お子さまにとって一番の味方は保護者様であるため、朝起きられないという問題にともに立ち向かうという姿勢は維持したいものです。
保護者様は、お子さまを起こさなくてはと焦る気持ちを抱えるかと思いますが、起こし方についてはお子さまの様子を見て慎重に判断する必要があります。
お子さまの感じているストレスを取り除くことで、事態が好転する可能性もあります。特に心理的な要因で朝起きられないケースや、起立性調節障害にはストレスが密接に関係しています。
学校生活にトラブルを抱えているのであれば、担任教諭をはじめとした学校側と連携・相談しながら根本的な解決を目指す必要があります。
しかし、思春期のお子さまは自分のことを話したがらないことも多々あるため、そもそも何に悩んでいるのか分からない場合もあるかもしれませんね。
そのようなときこそ、良好な親子関係の構築や日々のコミュニケーションを大切にする必要があります。毎日少しでもよいので顔を合わせ、きちんと会話をする時間を設けるようにしましょう。
上記でご紹介した起立性調節障害の症状が当てはまったり、そうでなくても朝起きられないことによって日常生活に支障をきたしたりしている場合は、速やかに病院を受診しましょう。
診断がつき、具体的な治療が必要であれば、それは早いに越したことはありません。
また、医師に診てもらうことでお子さま・保護者様の中にある漠然とした不安を取り除くことができるはずです。中学生のお子さまが朝起きられない場合は、小児科や児童精神科で対応してもらうことができます。
そのほか、お子さまの昼夜逆転生活の治し方については、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
▶不登校中の昼夜逆転どうやったら治る?親子でできる対処法を解説します
今回は、中学生のお子さまが朝起きられないことについて、その原因や対応をご紹介しました。
中学生のお子さまが朝起きられない背景には、起立性調節障害をはじめとした病気の可能性が潜んでいます。朝起きられないという問題は不登校にも繋がりやすいため、早期の対応が必要です。
不安を感じたり判断が難しい場合は、病院を受診しましょう。
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