学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
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お子さまが不登校になる原因の一つに「発達障がい」があります。
近年よく耳にする「発達障がい」ですが、具体的にどのような特性があり、それがどのように不登校に関係しているのか把握している方は少ないのではないでしょうか。
今回は、不登校に発達障がいが関係している割合や、詳しい特性、周囲にできる支援方法などについて幅広くご紹介します。
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もくじ
不登校はさまざまな要因が複雑に絡まりあって起こることが多いとされています。
発達障がいもその要因の一つであり、発達障がい特有の特性や、生きづらさが不登校に繋がる可能性があります。
ただし、発達障がいであれば必ずしも不登校になるかといえばそうではありません。裏を返せば、不登校の原因を発達障がいと断定することは適切ではないといえるでしょう。
不登校のお子さまのうち、発達障がいをもつ割合は5~40%といわれています。
一見、割合だけを見ると非常に幅があるように感じられますよね。というのも、不登校になってはじめて発達障がいであることが発覚するケースも多いのです。
多くの保護者様は、お子さまが不登校になったとき、その原因を探ったり根本的な解決を目指したりします。中には、医療機関を受診したり、専門の相談機関(カウンセリング)を利用する場合もあるでしょう。その際、お子さまの発達障がいという特性に気づいたり第三者からの指摘によって発覚するケースがあるのです。
発達障がいには、いくつかの種類が存在します。特性や知能は、発達障がいの種類によってさまざまであり、社会生活を送る上での対策や支援も異なります。
ここでは、不登校に関係するとされる発達障害の種類や詳しい特性について解説します。
学習障がい(LD)は、全体の知能に大きな問題はないものの、学習をする上での基本的なスキルに顕著な遅れや苦手さがみられるものを指します。
具体的には、以下のスキルのどれか、もしくは複数が苦手とされています。
これらの特性は、保護者様の育て方やお子さま本人に問題があって表れるわけではありません。まだまだ未解明な部分は多いですが、脳の中枢機能に障がいを抱えていると考えられています。
上記に挙げたような学習障がいの特性は、学校で学習をする上で欠かせないものばかりです。
お子さま本人には何の落ち度もなく、むしろやる気に満ち溢れているにも関わらず、学習障がいの特性のために勉強についていけなかったり、何度トライしても失敗したりするケースが多くみられます。
そのような失敗経験によって「自分はダメな人間なんだ」「周りに比べて劣っているんだ」という感情が芽生え、自己肯定感の低下に繋がります。同時に、そのような困難さを友人にからかわれることもあり、ますます自信を無くし、意欲低下に繋がってしまうケースがあります。
頑張っても努力が報われないことで無気力になると、次第に登校が億劫になってしまうお子さまもいます。
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、以下の3つの特性によって日常生活に支障をきたす状態を指します。
定型発達(発達障がいをもたないこと)のお子さまであっても、多かれ少なかれ「うっかり」何かを忘れたり、「つい」我慢ができなくなる経験はあるかと思います。
しかし、注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さまの不注意、多動性、衝動性は過度であり、通常の生活や対人関係の形成に支障をきたすほどです。
これは、お子さまの本人の努力不足によって起こるものではありません。周囲の適切な理解とサポート、場合によっては薬を服用することで症状が抑えられ、お子さまがつらい思いをすることなく学校生活を送れるケースもあります。
上記で挙げたような注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性は、学校での授業中にじっと座っていられなかったり、思い立ったことをすぐに行動に起こしてしまったりすることに繋がります。また、その不注意さから忘れ物が多いことも特徴です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さまは、この特性によって友人からからかわれたり先生から叱責されたりする機会が多くなるため、自分に自信を持てなくなってしまいます。そうした自己肯定感の低下から、不登校に繋がりやすくなります。
自閉症スペクトラム(ASD)とは、発達に何らかの偏りがある集合体を指し、その中には自閉症やアスペルガー症候群を含みます。
主な特性は、以下の通りです。
自閉症スペクトラム(ASD)のお子さまは、他者の気持ちを上手く汲みとることができなかったり、場に適した振る舞いができないといった特性があります。
また、特定の物事に関して強い関心やこだわりを持つお子さまが多いことも特徴です。周囲からは奇妙と思われるような言動を繰り返したり、たとえば興味のある電車や国旗を幼いうちから完璧に覚えていたりするお子さまもいます。
さらに、音、光、匂いなどの刺激に過敏で、たとえば衣類のある素材を極端に拒否するなど、日常生活に困り感がみられるケースもあります。
自閉スペクトラム(ASD)のお子さまは、多くの場合上記のような特性がみられ、幼いうちから周囲も「定型発達とは何か違うな」と感じる機会が多いため、特性にまったく気づかないまま成長することは少ないといわれています。
近年では、100人に1人程度存在するといわれる自閉症スペクトラム(ASD)ですが、保護者様の育て方によって起こるものではありません。まだまだ未解明な部分も多くありますが、その原因は遺伝的なものや脳の機能障がいが原因だろうと考えられています。
自閉スペクトラム(ASD)のお子さまは、上記のような特性によって、周囲からは「変わった子」として扱われがちです。
特に、コミュニケーションが苦手であったり、その場に相応しい発言・振る舞いができなかったりすることから「空気が読めない」「人の気持ちが分からない」と受け止められ、孤立しやすくなってしまいます。
これらがいじめに発展するケースもあり、自閉スペクトラム(ASD)の特性によって不登校に繋がってしまう場合があります。
また、感覚過敏を持つお子さまは、学校生活で受けるさまざまな刺激に疲弊してしまい、登校を避けるようになるケースもあります。
ここまで、3つの発達障がいについてお伝えしてきましたが、お子さまに上記のような発達障がいがあることが判明し、診断がつけば対応や支援方法を検討していくことも可能ですよね。
場合によっては、療育手帳を取得したり、支援学校・支援学級の利用を検討することもあるでしょう。
そんな中、近年、発達特性に関する悩みを抱えているにもかかわらず、支援に繋がることが難しい「グレーゾーン」のお子さまに注目が集まっています。
グレーゾーンのお子さまとは、上記に挙げたような発達障がいの特性が一部みられるものの、診断に至るほどではないお子さまを指します。診断されるほどの特性はみられないものの、定型発達の同級生集団に馴染むことが難しい、そんなお子さまを総称して、発達障がいのグレーゾーンと呼ぶようになったのです。
グレーゾーンのお子さまの場合、その時々の環境やお子さまご本人の様子をみながら診断や治療の必要性を見極めていく必要があります。発達障害者支援法の第5条 第3項によると、発達障がいと診断されていない、グレーゾーンのお子さまであっても必要であれば特別支援級を選択できるなど、何らかの支援を受けることができるとされています。
グレーゾーンのお子さまは、その判断のつきにくさから「クラスの中で一番劣っている子」といったようなレッテルを貼られ、自信を無くすケースが多々あります。
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前項では、発達障がいの特性が不登校の要因となることについて具体的にお伝えしてきましたが、発達障がいの原因を突き止めたり、根本的に治療する方法はあるのでしょうか。
ここでは、発達障がいとはどういったものなのか、その基本的な情報と正しく理解するためのポイントについてお伝えします。
お子さまの発達障がいを診断できるのは、医師のみです。主に小児科、児童精神科、小児神経科の受診が有効です。医師は以下の情報をもとに、お子さまを発達障がいと診断すべきかを検討します。
発達障がいの診断は、多くの場合、「DSM-5」や「ICD-10」といった国際的な診断基準書を用いて行われます。
まず、問診や行動観察によって、日常生活にどれくらい不適応を起こしているのか、困り感を抱えているのかを確認し、必要であれば、心理検査によってお子さまの知能(IQ)を測定します。
そして、総合的に見て国際的な診断基準をどれくらい満たしているかどうか確認し、診断に至るのです。
お子さまが発達障がいであると診断されたとき、ショックを受けたりご自身を責めたりする保護者様は多いものです。原因を特定し、それを排除することで定型発達のお子さまと同じように成長することを願う方もおられるでしょう。
しかし、前項でも少しご紹介しましたが、発達障がいになる原因は未だ特定されていません。
遺伝的な要因や、生まれつきの脳の機能障がいである可能性が指摘されていますが、まだまだ不明な点が多い領域です。
ただ一つ言えることは、お子さまが育った環境や保護者様のせいではないということです。
発達障がいを持つお子さまの保護者様は、周囲から奇異な目で見られたり、育て方や躾が悪いのだと責められたりするケースが多々見られます。しかし、そういった周りからの心ない言葉に傷つき、保護者様自身が心を病んでしまったり塞ぎ込んでしまったりする必要はありません。
障がいを受容することは容易いことではありませんが、お子さまの特性を理解し、どうすればお子さまの生きづらさを排除できるかを模索していけるとよいですね。
現在の医学では、発達障がいを根治させる治療法は見つかっていません。
しかしながら、発達障がい特有の特性と上手く付き合ったり、生活上の困難さを軽減させたりする治療は有効であるとされています。具体的には、以下の2点です。
薬物療法は文字通り、薬によって発達障がいの症状を軽減させる治療法です。特に、注意欠陥多動性障害(ADHD)に関しては、多動性・衝動性・不注意さに効果がある薬が開発されており、この薬を服用しながら日常生活を送る方も多くいます。
中には、「子どもに薬を飲ませるなんて」と抵抗感を抱く保護者様もおられるかもしれませんね。しかし、薬によって症状が軽減されることでお子さまのストレスが減ったり、同級生と同じように学校生活を送ることができるケースもあります。
心理社会的な支援とは、カウンセリングを受けるほか、周囲に発達障がいを理解してくれる人を増やすことで、発達障がいを持つ人が心地よいと感じられる環境を整えることを指します。
周囲に自分が持つ特性について話し、理解を得ることでサポートを受けやすくなります。発達障がいは身体障がいと異なり、目には見えない特性や生きづらさを抱えやすいものです。周囲も、お子さまにはどのような特性があり、どのような環境にすれば快適に生活できるのかという情報を得られていれば、適切な配慮をしやすくなるでしょう。
お子さまが発達障がいの特性によって不登校になった場合、周囲や保護者様にできる支援方法は何でしょうか。
「定型発達の子どもが不登校になった場合とは違って何か特別な支援が必要なのだろうか」と悩まれる保護者様は少なくありません。
以下では、発達障がいのお子さまが不登校になった際の基本的な対応や支援方法についてご紹介します。
まずは、お子さまの特性をよく知り、正しく理解する必要があります。
中には、以前から家庭でのお子さまの様子に違和感を抱いていたという保護者様もおられることでしょう。しかし、その違和感の正体は何なのか、向き合っていくためには何が必要なのかを的確に判断し、診断を下せるのは医師のみです。
特性を知らないままでは、できないことが多いお子さまに対して過度に叱ったり、人格を否定するような言葉を浴びせてしまったりする可能性もあります。
医師に診断されるということは、「我が子が発達障がいを持っている」という現実を突きつけられるということでもあります。そのため、受診に気が進まないと思ってしまったり、そのような気持ちに罪悪感を抱いてしまったりする保護者様もいます。
しかし、それらの感情は自然な心理です。保護者様にとってお子さまの発達障がいを受容することが困難な場合、保護者様自身がカウンセリングを受けるなど気持ちを発散させる場を作ることも一つの手です。
このように、お子さまの特性を正しく理解することが、お子さまにとって生きやすい環境を作ることの第一歩となります。
発達障がいのお子さまは、その特性によって周囲と上手く馴染めなかったり、失敗経験が多いのも特徴です。
特性の中には、定型発達のお子さまとどちらが優れているのかと優劣をつけることは相応しくないものも多々あります。しかし、まだ幼いお子さまであったり、自閉スペクトラム(ASD)のように物事の意味を深く読み取ったりすることが苦手なお子さまの場合、自分の特性がただただ劣っていると感じてしまうことがあります。
そうした経験を通して、必要以上に自信を無くしている発達障がいのお子さまは多くいます。
したがって、周囲の大人はお子さまの特性を理解すると同時に、意識して褒めることが大切です。保護者様から、「ありのままのあなた(お子さま)には、こんなによいところがある」と分かりやすく言葉にして伝えられることほど、お子さまにとって嬉しいものはありません。
お子さまが少しでも、発達障がいである自分を認め、自信を取り戻せるような振る舞いが必要です。
不登校中のお子さまにとって、学校や自宅以外の居場所を持てることはよい刺激になります。これは、発達障がいを持つお子さまに限った話ではありません。
塾やフリースクールなど、勉強を目的に家族以外の人と交流をするのもよいですし、趣味を楽しめる場に出かけてみるのもよいでしょう。
たとえば、習い事のようにお子さま自身に興味があるもの、お子さまがやりたいと思っていることに挑戦できれば、自信をつけることにも繋がります。学校では上手く人間関係が築けなくても、好きなことが共通している相手となら意欲的に交流できることもあるでしょう。
不登校だからといって自宅に引きこもっていては、お子さまも保護者様も煮詰まってしまいます。好きなことを通して、外の世界に居場所を作ることで、心の健康の維持にも役立ちます。
発達障がいによって不登校になった場合、お子さまに合った進学先を探す必要があるケースがあります。
たとえば、発達障がいの特性や程度によっては、特別支援学校への通学がお子さまにとって適切である場合もあります。感覚過敏のお子さまでも過ごしやすい環境が整えられていたり、知識や経験のある教員が指導してくれたりすることが、結果としてお子さまの生きやすさに繋がることもあるのです。
同様に、自由度の高さから通信制高校への進学を検討するケースもあります。通学や他者との交流が苦痛な場合、自宅で自分のペースで学習を進めながら単位を取得していくこともできます。
いずれも、学校側に発達障がいへの理解がある環境といえるため、お子さまの将来や進路を相談しやすいことも利点です。
お子さまが苦痛を感じることなく学校生活を送れるよう、その進学先には十分な配慮をする必要があります。
不登校になった原因の一つが「発達障がい」であっても、将来の選択肢を増やすために勉強はしておいてほしいと願う保護者様は多いのでしょうか。
しかし、発達障がいのお子さまに合った勉強法がわからず、サポートに苦戦してしまう保護者様も珍しくありません。
以下では、発達障がいで不登校になったときに実践可能な勉強法の選択肢についてご紹介します。
家庭教師は、お子さま一人ひとりに合った学習内容や学習ペースを提供してくれるため、発達障がいを持つお子さまも利用しやすいでしょう。
分からない部分はお子さまの納得がいくまで学習できますし、家庭教師という特定の大人と関わることは刺激にもなるはずです。
最近では、主に不登校のお子さまを対象とした家庭教師やサービスも存在します。お子さまと担当の教師の相性も見ながら学習を進めていけるとよいですね。
フリースクールとは、主に不登校のお子さまの居場所作りを目的とした施設です。個人や民間企業などが運営しているため、活動内容や特色は施設によって非常にさまざまです。
中には、発達障がいのお子さまに特化した施設、施設利用を学校の出席と同等に扱ってくれる施設もあり、不登校のお子さまが自宅以外で居場所を作る上で役に立つでしょう。
勉強に関しても、スタッフがお子さまの特性やペースを考慮した上で指導を行ってくれます。多くの場合、個別指導であるため、周囲の目やペースを気にせず勉強に打ち込めるのも利点です。
フリースクールについては、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。
▶フリースクールの問題点は?不登校児が後悔しないためにデメリットを調査!
塾でも、それぞれのお子さまに適した勉強をすることが可能です。
上記でご紹介したフリースクールは、自宅付近に存在するとも限らないことを踏まえると、塾の方がより身近で利用しやすいというお子さまもいるのではないでしょうか。
塾には、個別指導や集団指導といったさまざまなタイプがあり、指導教科もお子さまの得意・苦手に応じて選択することが可能です。
また、塾をきっかけに外出する機会ができれば、お子さまの気分転換になるケースもあります。
オンライン学習(通信教育)は、自宅に届く教材や動画配信によって勉強できるため、まだ外出の意欲的でないお子さまも無理なく勉強をすることが可能です。分からないところを納得いくまで繰り返し勉強できることも魅力的です。
オンライン学習サービスのサブスタでは、不登校中でも出席扱いになる制度が充実しているため、高校進学の際などに必要な出席日数の確保ができることも特徴です。自宅でプロのサポートを受けながら好きなことを伸ばしたり、苦手なことを克服できれば、お子さまの自信にも繋がります。
その他、不登校中の詳しい勉強法については、こちらの記事でご紹介しています。
▶不登校中の勉強法はどうしたらいい?自主学習で遅れは挽回する方法を解説します
今回は、発達障がいによる不登校について、具体的な障がいの種類をもとに支援方法まで幅広くご紹介しました。
お子さまの発達障がいは、決して保護者様の育て方に責任があるものではありません。
保護者様が自身を責めることなく、お子さまの特性を正しく理解し受け止めることが、お子さまの生きやすさ・生活のしやすさに繋がります。
勉強などを通してお子さまの居場所を確保しながら、お子さまが自信を持って生きてゆける環境を整えることを目指しましょう。
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