
学習コラム
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一度不登校になると、高い確率で再発するといわれています。不登校が再発してしまうと、多くの保護者様は逆戻りの生活に疲れて、また落ち込んでしまうのではないでしょうか。
「ようやく再登校したのに、どうして?」と悩んでしまうのも無理はありません。最初の不登校のとき、お子さまの様子を見ながら寄り添って対応してきた保護者様なら、なおさら深く悩んでしまうでしょう。
この記事では、不登校の再発で悩んでいる保護者様のために、不登校が再発する理由と対処法についてお伝えします。
また、再発を防ぐ大事なポイントについても解説していますので、参考にしてください。
もくじ
不登はなぜ再発するの?
不登校の再発とは、不登校を克服して学校へ通うようになったのに、また通えなくなることです。
最初の不登校の理由がはっきりしている場合、解決すれば登校できるようになるかも知れません。また、進級や進学のタイミングなど環境の変化で不登校が終わる場合もあるでしょう。
しかし、不登校が繰り返され学校へ行けなくなる例も少なくありません。ここでは、どうして不登校が再発するのかを詳しく解説していきます。
①根本的な原因が解決していないから
学校へ行かない理由をお子さまに聞いても、はっきりした答えは出てきません。なぜなら、不登校はさまざまな要因がからみ合って起こっているからです。
理由を聞くと「友達と合わない」「先生が怖い」「勉強がわからない」などが出てきます。しかし、これらは不登校のきっかけにすぎません。なぜなら、このような理由があっても不登校にならない子もいるからです。
人間関係が原因ならば、進級や進学など環境が変化するタイミングで学校へ行くかもしれません。また、成績不振が理由でも、塾へ行くなど勉強に追いつく方法はあります。
不登校のきっかけになった要因を解決すれば、学校へ通うようになるお子さまもいるでしょう。しかし、残念ながら再び学校へ行けなくなるお子さまもいるのです。なぜなら、不登校の根本的な原因が解決できていないからです。
では、根本にある原因とはどのようなものでしょうか。
家庭教育
過保護または過干渉に育てられると、主体的に取り組む姿勢が見られず、自己解決能力や自己決定能力が育ちません。
保護者様がよかれと思う声かけや先回りは、ときにお子さまの自立を邪魔している場合があります。お子さま主体ではなく、保護者様の意向を読み取って再登校した場合は、不登校を繰り返す可能性があります。
性格
不登校になりやすいお子さまには、神経質・完璧主義・心配性・緊張やストレスに弱いなど、性格的に共通するところがあります。
必ずしも、不登校になりやすいお子さまの性格に問題があるわけではありません。見方を変えれば、「まわりが気づかないことに気づく」「丁寧にきちんとやり抜く」「感受性が豊か」など長所でもあるのです。
まわりの大人の声かけや接し方で、自分の性格を受け入れられ上手く付き合えるようになるでしょう。
家庭環境
保護者様の長期不在などで、家事や家族の世話を日常的に行っている「ヤングケアラー」は、学業や友達関係に影響を及ぼします。本来大人が担うと想定されている責任を、何らかの事情で子どもが背負わされています。
精神的にも肉体的にも重い負担がかかるヤングケアラー問題は、子どもが自ら解決できるものではありません。まわりの大人が気づき支援する必要があります。
②登校してから新たな問題が発生したから
進級や進学のタイミングで心機一転して登校しても、新しい環境で問題が生じる場合があります。不登校の期間に心と身体が十分に休まり、学校へ行く意欲が出てきたお子さまの姿を見ると保護者様は安心します。
しかし、不登校は学校へ行ったから完全に解決したわけではありません。エネルギーが貯まったように見えても、新たな問題が発生したら不登校が再発する可能性は十分にあります。
では、学校へ復帰したお子さまが、また不登校になる新たな問題とはどのようなものでしょうか。
不登校に対する理解がなかった
不登校から復帰する最初の日は、勇気が必要です。先生や友達からどのように迎えられるのか、緊張と大きな不安を抱えて登校します。
進級のタイミングで学校復帰をした場合、学校によるクラス替えの配慮があるかもしれません。不登校になる前に仲が良かった友達と同じクラスだったとしても、その友達は別の友達と親密になっている場合もあります。
好奇心旺盛な年頃のクラスメイトから、不登校になった理由をしつこく聞かれるかもしれません。また、友達からの何気なく言われた言葉に傷つく場合もあるでしょう。
不登校に対する理解が先生やクラスメイトになければ、不登校だったことでいじめの対象になるケースもあります。
クラスに馴染めず疎外感を感じると、お子さまの不登校は再発してしまいます。
不登校だった期間の穴埋めができない
不登校の期間を経て、お子さまの意思を尊重したうえでの再登校であったとしても、不登校の再発は起こります。
登校したものの、想像以上に学力の差がついて勉強に追いつけないと、次第に勉強する気力は失われていきます。ついていけない授業ばかりだと、劣等感は大きくなり学校が苦痛になるでしょう。
また、体力不足の問題もあります。不登校の期間が長く家で過ごす時間が多い生活から、通常の学校生活にいきなり戻るのは無理があるかもしれません。
体力が落ちた状態での通学や、体育の授業は疲弊してしまいます。少しずつ学校生活を取り戻すには、午前中登校などの対策を考える必要があるでしょう。
不登校の期間のギャップを大きく感じると、気力だけで学校生活は続きません。
不登校の再発のサイン
不登校の再発にはサインがあります。お子さまが再登校しても、根本的な原因が解決していなかったり新たな問題が発生したりすると、次第にエネルギーは消耗し気力は失われていきます。
いつもと違う様子が見られたら、ストレスが溜まり心身の状態が悪化しているサインです。お子さまからのSOSを見逃さないように、以下の症状が見られた場合は気をつけなければなりません。
①身体に現れる症状
行き渋りが見られたり、夜更かしする日が多くなったりします。登校しても遅刻や早退が多く、部活を休む回数も増えるでしょう。
- 不眠・過眠
- 腹痛
- 頭痛
- 食欲不振
- 吐き気
- 高熱
- めまい
これらは、心因性からくる症状の可能性があります。保護者様から声かけをして、早めに休ませてあげるのが重要です。しばらく家で休んでも、症状が続き改善しない場合は医療機関での受診も必要です。
②心に現れる症状
学校の話はしなくなり、考え事をしていたり思いつめたりした様子でいます。声かけしても反応がなく、元気がない状態が続く場合もあれば、感情の起伏が激しく情緒が不安定なときもあります。
- 話をしない
- イライラする
- 無気力
- 攻撃的
- 泣く
- 集中力の低下
不登校になるかもしれない罪悪感から、学校へ行きたくない気持ちを親に隠している場合もあります。ストレスがかかりすぎるとうつ病へと移行していく場合がありますので、お子さまの不安を取り除く声かけが必要です。
不登校が再発したときの対応
不登校が再発する直前は「学校へ行きたくない」気持ちを保護者様に打ち明けられず、悩みながら登校してます。なぜなら、親に対する罪悪感があるからです。また、ようやく不登校から抜け出せたのに、再び学校へ行けなくなる自分を否定しています。
保護者様は、まずは再登校した事実を認めてあげて、学校へ行けない気持ちに共感し、ゆっくり休める環境を整えてあげましょう。お子さまには「また不登校になってしまった」という気持ちがあるので、最初の不登校のときよりも落ち込むかもしれません。
ここからは、保護者様ができる具体的な対応の方法をお伝えします。
①安心安全の場所づくり
家が安心安全の場所になっていると、お子さまは情緒が落ち着いてきます。自分には居場所がある、受け止めてくれる人がいるとわかるとそれだけで安心できるものです。
②学校側と連絡をとる
学校で何かトラブルがなかったかどうかを確認しておく必要はあるでしょう。不登校になる新たな問題が発生していた可能性もあります。
③お子さまの話を聴く
お子さまが学校のことなどを話し始めたら、否定したり話の腰を折ったりせず最後まで聴きましょう。お子さまの感情を評価せず、また自分の意見を押し付けないように気をつけなければなりません。
④お子さまに共感する
再登校できたのに、また学校へ行けなくなったお子さまの立場になって、気持ちを想像して共有してください。親の立場からの励ましやアドバイスはせず、お子さまと同じ感情を一緒に味わうと、辛い気持ちを理解して受け止めてくれたとお子さまは感じます。
⑤保護者様自身の心を立て直す
不登校の再発は、本人はもちろんのこと、保護者様にとっても辛い経験です。しかし、お子さまにはまだ十分なエネルギーが貯まっていなかっただけですので、焦らずゆっくり過ごすようにしましょう。
根本原因からお子さまへの対応を考え、お子さまが自立の道を歩み始めるようにサポートしてあげてください。
再発を防止するには
一度登校したら「このまま問題なく学校へ通って欲しい」と保護者様が思うのは当然です。しかし、再登校しても不登校が解決した訳ではなく、再発は高い確率で起こりうるといわれています。
では、不登校の再発を防止するためにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、再発を防止する方法をお伝えします。
不登校の期間を終え、再登校し始めたお子さまには以下を参考にして、引き続きサポートしてあげてください。
①無理に登校させない
不登校が長く続いてたお子さまにとって、毎日の登校は疲れが溜まります。体力不足もあるので、疲れた様子がみられたら無理に登校させないようにしましょう。
「学校へは行かなければならない」という価値観をゆるめて、気持ちを楽にしてあげましょう。
②熱中できる趣味などを見つける
学校での集団生活に疲れて、少しずつストレスが溜まっている場合があります。学校で嫌な出来事があっても忘れられるように、熱中できる趣味があればいいかもしれません。
一時的であっても、自分なりのストレス発散方法を知っておくと気持ちの切り替えに役立ちます。
③勉強できる環境を整える
再登校しても、勉強に対する意欲が続かず不登校が再発するケースがあります。数学や英語などの積みあげが大切な科目は、短期間で追いつくのは難しいので、習慣的に勉強ができる環境を整えるようにしましょう。
不登校になったお子さまは、集団授業が苦手かもしれません。サブスタは、自宅で効率よく勉強が進められます。最適な学習方法で勉強習慣が身に付き、抜けている単元の穴埋めも指導してくれるので、勉強の遅れが気になるお子さまには心強いのではないでしょうか。
④日頃の会話を大切にする
家族のコミュニケーションは大切です。そうは言っても、反抗期や思春期のお子さまとの会話は難しいかもしれません。返事がないのも想定内として、朝の挨拶などの声かけは続けるようにしましょう。
会話ができるお子さまとは、雑談も大切にしてください。お子さまの話に耳を傾け、うなづいたり相槌を打ったりしていると「話を聞いてくれている」「興味も持ってくれている」とうれしく感じるものです。保護者様が聞き上手になると、質問しなくても多くの情報をお子さまから得られるようになります。
日頃の会話で気をつけなければならないのは、常に保護者様の立場が上であるような命令や指示ではなく、相手が受け止められる声かけや会話を心がけることです。
⑤学校以外の学びの場所を知っておく
不登校になったお子さまは、学校という場所がそもそも苦手だった場合があります。再登校しても、集団授業などが苦手だと不登校の再発が起こる可能性は高いかもしれません。
お子さまの学びの場所は、学校だけではありません。子どもの自主性を重要視するなど、さまざまな特徴を持つフリースクールが多く存在します。気になるスクールを見つけたら、見学や体験入学してはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、不登校が再発する理由や再発したときの対応の仕方を説明しました。また、不登校の再発を防止する対策についてもお伝えしています。
ようやく再登校したのに、また学校へ行けなくなったお子さまの様子を見て、保護者様が落ち込むのは無理もありません。不登校のきっかけとなった問題だけを解決しても、また学校へ行けなくなる可能性はあります。
不登校を繰り返さないためにも、根本の原因を見直してお子さまの成長をサポートしましょう。