学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
情報を発信しています。
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近年、耳にすることの多いHSC(エイチ・エス・シー)。漠然と、「敏感な人」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実はこのHSCは不登校にも関わっているケースがあり、乗り越えるにはどうすればよいのか、その対応法や家での過ごし方に注目が集まっています。
そこで今回は、HSCについて詳しく解説するとともに、不登校との関連性や乗り越えるにはどのような支援が必要なのか、家での過ごし方も併せて詳しくご紹介します。
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もくじ
HSCとは略語であり、正式には「Highly Sensitive Child」と表記されます。
これはアメリカの心理学者エイレン・N・アーロンによって発見・定義されたもので、生まれつき感受性が非常に強く敏感で、繊細なお子さまを指します。
なお、最近では「HSP」という似たような言葉も頻繁に見かけます。これは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略語であり、お子さまだけでなく大人も対象としていることがHSCとの違いです。
人は誰しも周囲の環境からの影響(環境感受性)を受けるものですが、HSCのお子さまは特にその傾向が強いとされています。
ネガティブなイメージを持たれやすいHSCですが、決してそれが悪いことというわけではありません。むしろ、他者の気持ちに共感したり異変にすぐに気づいたりできるため、社会生活を送る上で欠かせない力がHSCではない人よりも優れていると見ることもできます。
HSCはその特徴をきちんと知り、上手く付き合っていくことが大切です。
以下では、特徴や原因など、HSCについて詳しく解説します。
HSPについては、以下の記事でもくわしく取り上げいてますので、併せて参考にしてください。
▶HSPが不登校を乗り越えるには?疲れやすいHSPの特性と4つの対策を解説します
HSCとは、医学的にそのような病名・診断が存在するわけではありません。つまり、病気ではないということです。
お子さまが生まれ持った特性や気質を表すための言葉であり、何か特別な治療が必要なわけでも、「治さなければならない」と感じるものでもないのです。
「敏感」「繊細」といった言葉で表現されがちなHSCのお子さまには、“DOES”と呼ばれる特性があることが知られています。DOESとは、HSCのお子さまに見られる4つの特性の頭文字を取った総称です。
一つずつ詳しくみていきましょう。
与えられた少しの情報や周囲の雰囲気を即座に、敏感に察知できる能力です。そして、察知した情報を自分なりに深く分析・処理したのちに行動を起こすため、周囲からは非常に慎重なお子さまだという印象を持たれやすくなります。
光、音、臭いといった外からの刺激を人よりも敏感に感じやすく、それらの刺激によって疲弊してしまいやすいのが特徴です。多くの人が気にならないような些細なことも目につき、気になるため、長時間の外出はストレスとなってしまう傾向にあります
自分だけでなく、他者の持つ感情に強く反応することができます。友人に起きた嬉しいこと、悲しいことを自分のことのように感じられる共感性も高いため、「情に厚い」という印象を持たれることもあります。反面、さまざまな感情に反応してしまうことで疲弊するケースもあります。
周囲の空気・雰囲気が変わったことや、友人の小さな変化にいち早く気づくことができます。外見などの目で見てわかるものだけでなく、感情の変化にも敏感です。
HSCのお子さまが持つこれら4つの特性は、他者と関わり社会生活を送る中で欠かせないものですが、HSCのお子さまはこの力が人よりも強すぎることが特徴です。
強すぎると、疲れてしまったり、他者との交流が苦痛に感じられたりすることもあります。
上記でも少し触れたように、HSCはお子さまが生まれもった特性です。
したがって、保護者様による遺伝や、育て方によって起こるものでもないのです。
HSCの特性によってお子さまが生きづらさを抱えているように感じると、つい自分を責めてしまう保護者様は少なくないでしょう。しかしそのように感じる必要なく、お子さまの特性を親子でよく知り、どのような対応・サポートが適切かを探っていけるとよいですね。
社会の刺激に敏感なHSCは、発達障がいの一種というイメージを持っている方も多いと思います。しかし、HSCは発達障害ではありません。
発達障がいは生まれつきの脳の機能障がいによって起こるものであり、知的障がいを伴うもの、対人交流に極端な困難さを抱えるものなど、多種多様です。
主に学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラムの3つに分類され、幼い頃からの治療や療育支援がその後の生活に役立つとされています。
それに対しHSCは投薬などの治療を要するものではないため、発達障がいとは異なります。
発達障がいと不登校については、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。
▶不登校児の発達障害を抱えている割合は?支援方法について解説します
HSCだからといって、必ずしも不登校になるわけではありません。
しかし、その特性が学校生活を送る上でつらいものとなってしまう場面があることも事実です。
詳細は次項で解説しますが、人よりも繊細で敏感であるということは、人よりも疲れやすく、あらゆる場面で少数派になりやすいということでもあります。ときには「変わった子」という目で見られることもあり、そういった周囲の目から逃れるために不登校につながってしまうことがあります。
以下では、HSCのお子さまが不登校になりやすい理由や要因についてご紹介します。
HSCのお子さまは、学校生活で刺激を受けすぎることが特徴です。HSCは小さな刺激や空気の変化も敏感に察知するため、人と同じように生活しているつもりでも疲れやすい傾向にあります。
学校で感じる音、臭いに敏感に反応してしまうこともあり、音楽や理科の実験など、五感を使う授業が苦痛に感じられることもあるでしょう。
また共感性が高いため、友人が教員に注意されているのを見かけると、まるで自分が注意されたように感じ落ち込んでしまうこともあります。
そのような出来事に一つ一つ反応していては、疲れるばかりですよね。学校=しんどくて疲れる場所だという認識が強まると、登校がつらくなってしまいます。
HSCのお子さまは、集団生活が苦手であることも珍しくありません。これは、集団生活が苦手というよりも、集団に適応するのに時間がかかりすぎるゆえに苦痛に感じてしまうという表現の方が適切かもしれません。
進学・進級のたびに過ごす場所や人が変わることも多い学校生活ですが、その新たな環境を深く分析し、理解・適応するのに多くの時間を要してしまうのです。
また、学校生活を送る上で体育祭などのイベントはつきものですが、HSCのお子さまは多くの人が集まる場所が苦手である傾向にあります。大きな音がすることや自分に注目が集まることがつらく、同級生と同じように楽しめなくなってしまいます。
このような経験が積み重なると、学校生活そのものがつらくなり、不登校へと至ってしまうのです。
HSCのお子さまは周囲の変化を敏感に察知できるゆえに、その次の行動が慎重すぎる傾向にあります。失敗を最大限回避できるよう、先々まで見据えた行動ともいえますが、集団で過ごす学校生活では浮いてしまう可能性があります。
クラスの皆と足並みを揃えて行動しなければいけない場面では、慎重すぎる特性が欠点のように感じられることがあるかもしれませんね。そういった経験から自信を無くし、不登校に繋がるリスクもあります。
HSCのお子さまは生まれつき慎重さや過敏さをもって生活しているため、そのような自分の特性に違和感を感じることはないかもしれません。
しかし、HSCではない多くのお子さまから見れば、その特性が奇妙に感じられることも多々あります。周囲から「なんだか繊細すぎる子」というレッテルを貼られ、良くも悪くも注目を浴びてしまうのです。
周囲の空気を敏感に察知してしまうHSCのお子さまは、そのような周囲からの目にも敏感で、ますます思い悩んでしまいます。
そういった悩みや孤立感から学校生活が苦痛になり、不登校のきっかけとなってしまうケースもあります。
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では、上記のようなHSCの特性がきっかけで不登校になったとき、保護者様はどのように対応すればよいのでしょうか。
HSCによる不登校を乗り越えるにはどのような心構え、対応が必要なのか、以下で詳しく解説します。
お子さまの不登校支援において重要なのは、お子さまについてよく知るということです。当たり前のように感じられるかもしれませんが、特に思春期のお子さまは自分の話をしたがらないこともあるため、意外と知らない情報はあるものです。
お子さまについて正しく知ることが適切な対応に繋がることは、HSCであってもなくても変わりません。HSCのお子さまの場合は、知るべき情報の一つに「HSCに関すること」があるというだけなのです。
書籍やインターネットをはじめ、スクールカウンセラーなどの身近な存在を通してお子さまの特性について理解していきましょう。
登校を強要しないことも、不登校対応における基本です。
そもそも不登校になるということは心が疲れている状態であり、まずは心身ともに休息することが必要です。そのような状況の中、登校を強要してもかえって逆効果ですし、「親は自分の味方ではない」とお子さまに思われてしまうことは一番避けたいものです。
つらいとき、それを保護者様に打ち明け、頼れるような関係を維持するためにも、お子さまに登校を強要することは得策とは言えないでしょう。
お子さまが自分自身に自信を持ち、前を向いて歩いていけることはその後の人生においても役立ちます。
保護者様がお子さまの特性を受け入れ認めることで、お子さまは「HSCである自分」に自信を持つことができるようになるはずです。お子さまの感性が変わっていると感じても、ありのままを受け入れ、否定しないことが重要です。
HSCのお子さまには、厳しく叱らないこともポイントです。HSCのお子さまは非常に繊細であるため、叱られたことに過剰に反応し、落ち込みが長引いてしまいます。できるだけ丁寧に、柔らかい口調で間違いを正せるとよいですね。
決して叱るのが悪いわけではありませんし、お子さまの成長をサポートする上でそれが欠かせないこともあります。ただその際、保護者様が感情的になりすぎないよう注意が必要です。
お子さまの状態やHSCの特性について学校側とも情報を共有・連携できるとよいでしょう。
お子さまが少しでも快適に学校生活を送れるよう、学校側が環境を整えてくれる可能性があります。また、学校と連携を図ることで不登校のお子さまと保護者様が社会から孤立してしまうのを防ぐことができます。
そのほか、専門機関でお子さまの特性について相談したり、保護者様自身もカウンセリングなどを利用したりすることで、HSCのお子さまに向き合う保護者様の負担を軽くすることができるでしょう。
HSCのお子さまが不登校になり保護者様は対応に模索する中で、肝心のお子さまがどのように過ごせばよいのでしょうか。
特に不登校期間中、家での過ごし方に頭を抱える方は多いかもしれませんね。
以下では、HSCのお子さまが不登校になったときの家での過ごし方について解説します。
HSCかどうかに関わらず、不登校のお子さまは心身が非常に疲れている状態といえます。
日々のストレスなどから「学校に行きたい」「何かをしたい」という意欲が湧かないのです。この状態では、どんな対応も上手く効果を発揮することができません。
まずは心身の回復に努め、穏やかな時間の中でストレスから解放してあげることが必要です。そのためには、保護者様とお子さまがコミュニケーションをきちんととる中で不登校のお子さまを認め、受け入れることが大切です。
心身が回復したら、お子さまに家の中で役割を持たせ、自信をつけられるとよいでしょう。
簡単なお手伝いなどから始め、それができたらお子さまにわかる形で労い、褒めることがポイントです。
不登校であっても家族から受け入れてもらえるという環境はお子さまの負担を軽くしますし、褒められることで自信にもつながります。
自信の回復は登校再開を目指す上で欠かせないものです。
お子さまに自信をつけるという点で、お子さまの趣味や好きなことを増やす・伸ばすことも効果的です。得意なことや自分の強みだと思えるものがあることは、お子さまの心を強くしてくれます。
自己肯定感が育まれると、「失敗するようなことがあっても大丈夫」と自分自身を鼓舞することができ、登校への勇気が湧いてくる場合もあります。
また習い事に通うなどして趣味を極めることができれば、社会と接点を持つ機会を持つことにも繋がります。
不登校という状況に漠然とした不安を抱えているのであれば、勉強をするという過ごし方もあります。
不登校による学習の遅れは、「勉強についていけないかもしれない」という不安や焦りから登校再開を妨げることが報告されており、その後の進路の幅を狭めてしまう可能性もあります。
家庭での勉強法がわからないときは、サブスタなどのオンライン学習を利用することも一つの手です。
学校の授業進度に応じて分からない部分を繰り返し学習でき、さらに出席扱い制度も整っているため、不登校のお子さまが利用しやすいサービスです。
勉強をしてある程度学校の授業についていける状態にしておけば、登校再開のハードルが下がりますし、自信にも繋がります。
今回は、HSCのお子さまに関する特性や、HSCのお子さまが不登校になったときの乗り越え方、家での過ごし方についてご紹介しました。
HSCのお子さまにとって学校生活はストレスとなる場面が多く、つい行きたくなくなってしまう場所であることは事実です。
保護者様はお子さまがどうしてつらいと感じているのか、HSCの特性を理解しながら受け入れていけるとよいですね。不登校中の対応については、HSCであってもなくても、基本の部分は変わりません。
まずは心身の回復を第一優先に、少しずつ進んでいくことを目指しましょう。
こんなお悩みありませんか?
「不登校が続いて勉強の遅れが心配…」
「勉強をどこから始めていいか分からない…」
「出席日数が少なくて進路が心配…」
「本人が塾や家庭教師を嫌がる…」
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