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保健室登校するとどうなる?出席日数や成績、進学への影響について解説します

不登校

2024/09/05

お子さまが不登校中であったり、教室に入れない・入りたくないと感じていたりする際の選択肢の一つに、「保健室登校」があります。

中には、お子さまの状況を鑑みて学校側から保健室登校を勧められるケースもあります。

保健室登校でも出席扱いになるのか成績や高校進学に影響はあるのか、気になっているお子さま・保護者様は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、保健室登校のメリット・デメリットをはじめ、高校進学への影響などについて幅広くご紹介していきます。

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保健室登校とは?

保健室登校とは?

一般的に保健室登校とは、「学校には登校できるものの、教室に入ることは難しいために保健室で過ごす状態」を指します。

保健室に滞在している時間に関して具体的な定義はありません。一日を通して保健室で過ごすお子さまも、特定の授業だけは教室で受け、それ以外は保健室で過ごすお子さまもどちらも総称して「保健室登校」と呼ばれることがほとんどです。

保健室登校の割合

日本学校保健会が平成28年度に発表したデータによると、保健室登校をする児童・生徒の割合は、以下の通りです。

小学校32.4%
中学校36.5%
高等学校36.8%
全体34.0%
(出典:公益財団法人日本学校保健会『平成28年度 保健室利用状況に関する調査報告書』

このように、校種問わず約3割のお子さまが保健室登校をしています。

したがって、不登校であったり教室に入りたくないと感じたりするお子さまへの対応として決して珍しいものではありません。

保健室登校の過ごし方

保健室登校の過ごし方は、お子さまの状態や意欲によってさまざまです。

まだまだ心身の休息が必要なお子さまは養護教諭と雑談をしたり、短時間の滞在で帰宅したりするケースもあります。また、自主学習に励んだり、給食を食べるなど教室にいる他生徒と同様のスケジュールで過ごすお子さまもいます。

お子さまのその日の調子や状態に合わせて、比較的自由に過ごすことができるのが保健室登校の特徴です。

養護教諭はどのような対応をしてくれる?

お子さまが保健室登校によって保健室に滞在している間、サポートにあたるのは主に養護教諭であることがほとんどです。心身の不調に関して相談にのったり、担任教諭やスクールカウンセラー、支援員と連携をとったりと一番身近な学校職員としてサポートしてくれるでしょう。

ただし保健室という特性上、他の児童・生徒も利用する場所であるため、保健室登校のお子さまに付きっきりでサポートにあたることは難しいのが現状です。学習支援に関しても同様で、専門性の違いなどから十分な指導を受けることが難しい場合があります。

保健室登校以外の選択肢は?

教室には入れないが学校に行く気はある、より充実した学習支援を受けたいと希望する場合、別室登校や放課後の登校といった選択肢もあります。

別室登校は多くの場合、空き教室などの保健室とは別の場所で過ごすことを指します。別室登校のお子さまが使う教室は、たとえば「ふれあいひろば」など、お子さまが親しみやすい名前がつけられていることもあります。

保健室登校との一番の違いは、学習指導に重きを置いているという点です。支援員が個別で指導にあたったり、手の空いている教員が指導にあたってくれる場合もあります。お子さまが在籍するクラスの時間割に沿って学習を進めることも可能なため、教室復帰をより具体的にイメージしやすくなります。

学習だけでなく、支援員や他学年の児童・生徒と雑談をしたり、給食を食べたりしながら信頼関係を形成し、他者とのやりとりに慣れていく練習も可能です。

放課後の登校とは、お子さまが在籍するクラスの教室で担任教諭と短時間学習をしたり会話をしたりすることを指します。保護者様が同伴するケースも多く、家庭での様子や教室復帰に向けた計画を立てることもあります。

他の児童・生徒と同じ環境を経験することに意味があり、教室も自分の居場所なのだと再認識できるきっかけにもなるでしょう。

別室登校については、以下の記事でくわしく解説していますので参考にしてください。

【別室登校】は不登校の子どもの希望?別室登校のメリットとデメリットを解説

保健室登校のメリット

保健室登校のメリット

学校側に保健室登校を勧められても、それによってどのようなメリットや良い影響があるのかイメージが湧かないというお子さま・保護者様もおられることでしょう。

以下では、保健室登校によって生じる4つのメリットについてご紹介します。

孤立を防ぐことができる

保健室登校をすると、お子さまの孤立を防ぐことができます。特に不登校で自宅に引きこもりがちになっているお子さまの場合、自宅以外に安心できる場所が見つけられず、社会との関わりが絶たれた状態になることも珍しくありません。

そのようなとき保健室登校をすれば、たとえ教室に入ることはできなくても、自宅以外の外の世界と関わることができます。養護教諭や担任教諭など、気の許せる相手とコミュニケーションをとるだけでも十分に意味があるといえるでしょう。

また、保健室登校によって孤立を防ぐことができるというメリットは、保護者様においても同様です。

お子さまが不登校になるとなかなか学校の様子がわからず、我が子と自分だけが取り残されたような気持ちになってしまいがちですが、お子さまが保健室登校をすることによって学校との関わりを持ち続けることができます。保護者様の不安や悩みを養護教諭や担任教諭に吐き出すきっかけにもなり、ストレスの軽減が期待できます。

生活リズムが整う

教室か保健室か、通う場所はどこであれ、学校に行くという習慣が身についていれば自然と生活リズムを整えることができます。

その日の体調次第では、早起きが難しかったり遅刻・欠席してしまったりする日もあるかもしれません。しかし、ある程度決まった時間に学校へ行くこと、学校のチャイムに合わせて行動することが意識できていれば、その後の教室復帰をスムーズに迎えられる可能性が高まるでしょう。

心身のサポートを受けられる

基本的に保健室は、養護教諭が心身の不調に対応したり、相談にのったりすることも役割の一つとされています。

そのため、健康面に不安があったり心のエネルギーが乏しいお子さまの場合、別室登校や放課後の登校よりも保健室の方が適切かつ安心できるサポートを受けられる可能性があります。

たとえば、ストレスによって腹痛や頭痛などを感じたとき、保健室であればすぐに横になったり、養護教諭に何らかの対処をしてもらうことが可能です。

出席扱いになる

多くの小・中学校では、児童・生徒の保健室登校を通常の出席と同様に扱っています。これは、通う場所が保健室であっても、学校自体には登校できているため欠席とみなすのは不適切であるとの考えによるものです。

ただし、義務教育ではない高等学校の場合、この限りではないため確認が必要です。

中学生の場合、出席日数が内申点に影響し、その後の進路選択や高校受験を左右することになりかねないため、保健室登校が出席扱いになる点は大きなメリットといえるでしょう。

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保健室登校のデメリット

保健室登校のデメリット

多くのメリットがある保健室登校ですが、お子さまの状況によってはデメリットと感じられる部分もあります。

以下では、保健室登校のデメリットについてご紹介します。

さまざまな生徒が出入りする

上記でたびたび取り上げているように、保健室はさまざまな生徒が出入りする場所です。

この特徴がお子さまの刺激となればよいのですが、対人関係に悩みを抱え保健室登校に至ったお子さまの場合、つらい気持ちになってしまう可能性もあります。特にクラスメイトが来室した場合、気まずさを感じたり保健室登校をしていることに恥ずかしさを感じたりするのは想像に難くないでしょう。

保護者様は、お子さまがそのような状況にストレスを感じていると判断できる場合、学校側に相談してみるのも手です。状況に応じて、人目が気にならないような工夫や配慮をしてくれる場合があります。

学習サポートに不十分さを感じる

保健室登校では、児童・生徒に対して養護教諭やその他の教員が付きっきりで指導をしてくれるわけではないため、学習に意欲的なお子さまは物足りなさを感じてしまう可能性があります。

分からない問題をすぐに解決することができない状況が続くと、授業のペースから遅れることになり、勉強面への不安が高まってしまいます。「教室復帰しても授業についていけないのではないか?」との不安から教室復帰が億劫になり、保健室登校が長期化するケースもあります。

成績が下がる可能性がある

保健室登校中の過ごし方によっては、成績が下がる可能性があります。

成績に関しては、主に定期テストを受けることができているかどうかが鍵となります。多くの学校では、保健室で定期テストを受けることが認められるため、受けられそうな試験は受けておくと安心でしょう。

また、学習意欲や提出物が出せているかどうかが成績に影響する場合もあります。評価基準は学校によりさまざまであるため一概には言えませんが、無理のない範囲で取り組んでおけるとよいですね。

なお、定期テストを受けられなかった場合や、学校側が成績をつけるだけの材料がそろっていないと判断する場合、評価の中で一番下となる「1」がついたり、「評定不能」と記載されたりすることがあります。

保健室登校から教室復帰を目指すには?

保健室登校から教室復帰を目指すには?

保健室登校から教室復帰を目指すには、具体的にどのような行動をとればよいのでしょうか。

以下では、特に心がけたいポイントについて解説します。

自己肯定感を高める

保健室登校から教室復帰を目指す上で、お子さまの自己肯定感を高めることは必要不可欠です。学習や友人関係、どれをとっても「自分は上手くやれるに違いない」という自信を持つことが大切です。自信があれば意欲的に物事に取り組むことができますし、万が一失敗しても再び立ち上がることができます。

お子さまに自信をつけさせるためには、小さな成功体験や達成感を味わう機会を設けることが重要です。

目標を設定する

お子さまと保護者様が一緒になって、目標を設定することも重要です。

これは、お子さまが容易に達成できそうな小さな目標で構いません。たとえば、「週に〇日は保健室に登校する」「保健室にいる間、少しでも教科書を開いてみる」などです。お子さまにとっては簡単すぎるような目標でも、まずは成功体験や達成感を味わうことが大切です。

お子さま自身が、達成している自分の姿を想像できるような目標からはじめ、少しずつステップアップしていきましょう。

スモールステップで教室復帰を目指す

上記の「目標を設定する」と重複しますが、教室復帰はスモールステップで目指していくことが大切です。お子さまの心身の状態や状況に応じて、少しずつ前に進んでいきましょう。

保健室からいきなり教室に復帰することに不安を感じる場合、一旦別室登校に切り替え、時間割に沿った生活に慣れるのも手です。

教室復帰の目指し方や選択肢はお子さまによってさまざまです。他者と比べたり焦りすぎたりせず、お子さまに合ったステップを踏んでいけるとよいですね。

保健室登校でも高校に進学することはできる?

保健室登校でも高校に進学することはできる?

中学生のお子さまの場合、教室復帰を目指す中で「保健室登校でも高校に進学することは可能なのだろうか」と不安に感じることがあるかもしれません。

将来に不安を感じ、悲観的になってしまうこともあるかもしれませんが、保健室登校であっても高校に進学することは十分に可能です。

高校と一口に言っても、全日制、定時制、通信制といったようにいくつかの種類がありますし、お子さまの希望に沿って検討していけばよいでしょう。

ただし、進学先の選択肢を増やしたり、受験に受かりやすくするためには、上記でご紹介した「出席日数」と「成績」に注意する必要があります。特に全日制高校の場合、出席日数や成績を含む内申点と、受験を突破するだけの学力が必要となります。

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保健室登校に関するまとめ

保健室登校に関するまとめ

今回は保健室登校の実態をはじめ、メリットやデメリットまで幅広くご紹介しました。

保健室登校であっても高校進学は十分可能ですし、まずは学校に通えているということに誇りを持ち、自信をつけることが重要です。保護者様においても、学校との関わりを通してお子さまへの支援・対応を検討していけるとよいですね。

保健室登校ならではのメリットを最大限に活用し、お子さまが設定した目標を少しずつ達成していくことを目指しましょう。

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監修

サブスタ代表

森岡峻平

もりおか・しゅんぺい。株式会社lean earns代表取締役。学習アドバイザー、不登校カウンセラー。
2011年、家庭教師派遣事業を展開する教育系グループの営業責任者に就任し、3年間従事。2015年に教育ベンチャーを起業して以来、一貫して小・中学生向けICT教材の企画・開発に携わり、無学年式のオンライン学習教材「サブスタ」を開発。
また、昨今不登校生が増え続ける中、全国の通信制高校と連携し、サブスタを通じて出席扱い制度普及の活動を行っている。

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