学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
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夏休み明けは、不登校になりやすい時期だといわれています。
実際、文部科学省が発表するデータを見てもそれは明らかであり、近年では夏休み明けの不登校は珍しくないとの認識が徐々に広がっています。
では、夏休み明けの不登校はなぜ起こるのでしょうか。
夏休み明けに不登校になる原因がわかっていたり、お子さまの特徴が掴めていれば、事前に対応したり早期解決できたりすることが期待できますよね。
そこで今回は、夏休み明けの不登校がなぜ起こるのか、文部科学省のデータとともに詳しく解説します。
長期休み明けに学校に行きたくないお子さまが増える原因については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
▶休み明けに学校に行きたくない5つの理由とは?子どもの気持ちと対処法
不登校のお子さまの接し方に迷っていませんか?
不登校のお子さまを「見守る」だけでは元気になりません。
大切なのは再登校だけではなく、お子さまの気持ちを解決して自分らしく生きる道を見つけることです。
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もくじ
文部科学省が令和2年に小学校6年生と中学校2年生を対象に実施した調査によると、夏休み以降の出席率は以下のようになっています。
出典:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」
上記のデータによると、夏休み明けに「全く学校に行っていない」、「ほとんど学校に行っていない」と回答した児童生徒は、小学生・中学生ともに全体の約4割存在することがわかります。
したがって、今や夏休み明けの不登校はさほど珍しいものではないと言えるでしょう。
また、文部科学省が平成27年に公表した調査データによると、過去40年間における18歳以下の日別自殺者数は、9月1日が顕著に高いことが明らかとなっています。これは一般的に夏休み明け頃であり、文部科学省も「学校の長期休業明け直後に自殺者が増える傾向にある」と明記しています。
夏休み明けは、不登校や自殺という最悪の事態が起こりやすい時期であり、お子さまにとっていかに精神的負担が増す時期であるかを理解することが重要です。
(出典:文部科学省 平成27年度版自殺対策白書 「18歳以下の日別自殺者数」)
夏休み明けに起きやすい不登校の中でも、特に注意が必要なのは一年生だと言われています。
これは、小学一年生、中学一年生ともに当てはまりますが、特に小学一年生は「小1プロブレム」という言葉があるほど不安定な時期です。
「小1プロブレム」とは、初めて経験する学校生活に上手く適応できず、心や身体のバランスを崩したり、問題行動を起こしたりすることを指します。
近年では、小1プロブレムとされるお子さまが、授業中じっと座っていられなかったり、友人に話しかけたりするなどして授業の進行を妨げてしまうことが問題となっています。
小1プロブレムは、お子さまがこれまで経験してきた保育園・幼稚園生活とのギャップによって生じるものです。遊び中心であった生活から、勉強中心への生活へと変化し、規律を守ることや集団行動を求められることがストレスとなるのです。
1学期の間、徐々に蓄積されたストレスは夏休みの間に一度和らぎますが、夏休み明けが近づくにつれて不安へと変化します。
お子さまにとって学校はしんどい場所だという認識になっていると、夏休み明けの登校が億劫になるのは自然なことでしょう。
一年生は不登校になりやすく特に注意が必要な時期ですが、夏休み明けは一年を通して、学年関係なく不登校になりやすい時期だとされています。
そしてその理由は、いくつか共通したものがあると言われています。
ここでは、夏休み明けに不登校になりやすい代表的な理由についてご紹介します。
新年度になってから夏休みが始まるまで、身体的・精神的に「つらい」と感じながらもなんとか日々を乗り越えてきたお子さまにとって、夏休みという期間だけでその疲れを回復させることは難しいものです。
特に、心の疲れは時間が経ったからといって容易に回復するものではありません。
上記でご紹介したような一年生のお子さまの場合それは尚更で、環境の変化によって受けたストレスは大きなものと言えます。
まだまだ登校するだけのエネルギーがない状態だと、夏休み明けに登校する意欲が湧かず、不登校に繋がることがあります。
真面目なお子さまの場合、宿題が終わっていないということも夏休み明けの不登校の理由となります。
宿題が不登校の原因となるのは、やらなければいけないと自覚していながらも終わらなかったことに絶望を感じたり、終えられなかった自分に自信をなくしたりしてしまうからです。
また、夏休み明けに宿題が終わっていないことを先生や保護者様に責められるのではないか、友人はどう思うだろうか、といった不安を感じているケースもあります。
多くのお子さまは、そのような状況でも「なんとかなる」と思えたり、ギリギリまで提出を目指したりするでしょう。
しかし、「なんとかなる」と思うためにはある程度の成功体験や自信が必要です。これまでの経験から、「自分はやればできる」と思えていればよいのですが、成功体験が乏しかったり性格上弱気であったりする場合、諦めてしまうお子さまもいます。
宿題が終わっていないと、周囲は「怠けている」と感じることがあるかもしれません。
しかしその背景には、宿題をやろうと思うだけのエネルギーがない、夏休み明けの学校生活への不安が大きすぎて宿題に手がつかない、といった怠け以外の原因が潜んでいる可能性があります。
夏休みの間は、生活リズムがルーズになるお子さまが多いのではないでしょうか。
長期休みの特権とも言えますが、一度そのような楽な生活を経験してしまうと、元の規則正しい生活がつらくなってしまいます。
また、前項でご紹介したように、夏休み明けの学校生活に不安を抱えている場合、その不安から夜寝付けなくなってしまうことがあります。夜眠れないと朝きちんと起きることができず、最悪の場合、昼夜逆転生活となってしまいます。
そのような生活リズムの乱れから、夏休み明けに不登校に至るケースもあります。
学校での人間関係に不安があると、登校が億劫になってしまいます。
このようなお子さまは、夏休みという学校に行かなくてよい期間に安堵感を抱き、夏休み明けが近づくにつれて口数が減ったり元気がなくなったりといった変化がみられることもあります。
特に女子児童・生徒の場合、学校生活では少人数のグループを作って行動する傾向にあるため、夏休み前に所属していて心地よいと思えるグループができていなかったり、孤立していたりすると夏休み明けの登校への不安は高まります。
多くの学校では、夏休み明けに体育祭、文化祭、修学旅行といったイベントがあり、それらは友人の有無によって楽しさが変わるものと言えますよね。人間関係に不安があるとこういった学校行事がつらいものとなり、結果的に登校を避けようとすることに繋がりかねません。
夏休み明けは、ますます勉強の難易度が上がります。
元々勉強に苦手意識のあるお子さまの場合、夏休み前はなんとか授業に食らいつけていても、夏休み明け以降は周囲との差が徐々に開く可能性が予想されます。
また中学生や高校生のお子さまの場合、夏休み明けは休み明けテストが実施される学校も多く、試験への不安感やプレッシャーから登校意欲が低下するケースもあります。劣等感や失敗体験の蓄積は、小・中学生というまだまだ幼く精神的にも不安定なお子さまが登校を拒否するのに十分な理由と言えるでしょう。
さらに卒業学年のお子さまの場合、夏休み明け以降は進路選択および受験への準備が本格化します。進路の方向性を決めきれない、考えたくないといった現実逃避的な思考は、ときに学校に行かないという選択に繋がることもあります。
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夏休み明けに不登校になるお子さまは、いくつかの特徴がみられる傾向にあります。それは、夏休み明けにかかわらず夏休み中からみられることもあるため、保護者様は注意が必要です。
ときには、保護者様が感じた「なんだか様子がおかしい」という気づきが不登校の未然防止や早期解決に繋がることもあるため、特徴を知っておき、早めに対応できるとよいですよね。
夏休み中から不登校のサインがあったお子さまも、そうでなかったお子さまも、いざ夏休みが明けて学校生活が始まると、より顕著に不登校のサインが表れやすくなります。
以下では、夏休み明けに不登校になりやすいお子さまの特徴について解説します。
夏休み前の疲れが抜けきっていないと、夏休み中も外出を嫌がったり家族以外の人に会うことを避けたりするようになります。外出や人との交流は体力的にも精神的にもエネルギーが必要で、多少なりとも疲れてしまうものですが、多くの方はそれを承知の上で外出をしますよね。それは、疲れよりも外出への楽しみや意欲が勝っている健康的な状態だからです。
しかし、疲れや不安の強いお子さまは、たとえばゲームといった自宅でできることに没頭して外出を避けるようになります。自宅での活動に没頭することで、不安や恐怖に目を背けているとも言えます。
前項でも少しご紹介しましたが、不安や悩み事があると夜いろいろと考えてしまい、なかなか寝付けなくなることがあります。そうすると、今度は朝起きられなくなり、だんだんと不規則な生活リズムが出来上がっていきます。
また、スマホやゲームへの依存が睡眠を妨げているケースもあります。ゲームは単に楽しいだけでなく、オンラインゲームなどを通して他者と繋がることのできるツールでもあります。ゲームという共通の趣味を通して出会った相手とは本名や顔を知られることなく交流できるため、居心地がよいと感じるお子さまもいます。学校では得られなかった“居場所”をゲームの中で得ることができたと感じるケースもあり、それがますますゲームに没頭し生活リズムを狂わせる要因にもなります。
上記のように夏休み中に生活リズムが乱れてしまうと、夏休み明けに簡単に規則正しい生活に戻すことは難しいものです。
夏休み明けに登校したくないからこそ夜更かしをしたり朝起きることを拒否したりする場合、永遠に不規則な生活リズムは改善されず、負のループに陥ってしまいます。不規則な生活リズムは、生活時間帯の違いから他者と疎遠になるきっかけにもなり、問題が悪化しやすくなることも特徴です。
不登校に関連した昼夜逆転生活の問題点については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
▶ 不登校中の昼夜逆転どうやったら治る?親子でできる対処法を解説します
勉強が嫌・やりたくないのではなく、学校への恐怖感・抵抗感を宿題をやらないことを通して表している可能性も考えられます。
これを意識してやっているかどうかは、お子さまの年齢や精神状態により異なります。中には、自分の中に「学校に行きたくない」という気持ちがあることを自覚できておらず、無意識に宿題を避けてしまっているケースもあるのです。
保護者様が「宿題をやらないなんてどうしたんだろう?」とお子さまの異変に気づいてくれるのを待っている場合もあるため、単なる怠けで宿題をやりたがらないのかどうか、慎重に見極める必要があります
夏休み明けの登校初日、登校時間が迫ってくると、体の不調を訴えるお子さまは非常に多いものです。これには、登校への不安やストレスが本当に腹痛などを引き起こしているケースと、休む口実を作るために不調を訴えているケースがあります。
後者は、いわゆる「仮病」という言葉で片付けられがちですが、お子さまが仮病を使ってまで登校を渋る背景に目を向ける必要があるでしょう。
また、お子さまが自発的に不調を訴えることができない場合でも、なぜだか元気がなかったり食欲がなくなったりする様子から、異変に気づくことは可能です。
夏休み明けは、学校に不安や恐怖を持ちつつも、「行かなければならない」、「でも行きたくない」という葛藤に悩まされやすくなります。この感情をストレートに家族に伝えることはそれなりに勇気が必要ですし、相談の仕方がわからず、だんだんと口数が減っていきます。
頭の中が学校への不安でいっぱいになり、人と話す余裕がない場合もあります。
令和2年、文部科学省は不登校の児童生徒に関する新たな通知を発表しました。
そこに記載されているこれまでの不登校対策との大きな違いは、児童生徒の学校復帰に対する考え方についてです。
文部科学省がそれまで示していた不登校対策は、あくまで学校復帰を前提としたもの、学校復帰を目指すものでした。しかし新たな方針によると、不登校に関しては学校登校という結果にこだわらないこと、児童生徒が将来的に自立できるような支援をすることの重要性が明記されています。
つまり、登校できればそれでよいという考え方ではなく、結果としてお子さまの利益や幸せ、将来に繋がるような対応や対策が必要だということです。
不登校のお子さまの自立にあたっては、不登校であっても勉強する機会や環境が守られるような取り組みや対策がはじまっています。
文部科学省が令和5年に取りまとめた不登校対策「COCOLOプラン」では、誰一人取り残されない学びの保障が目指されており、今後ますます充実した支援が受けられることが期待できます。不登校で学校に通えていなくても学ぶ機会は保障されており、学びたいと思ったときに学べることは、単に学校に通えていることよりも重要であると言えるでしょう。
また、夏休み明けなどの長期休業明けは自殺者が多いという事実が明らかになったことを受け、令和4年にはそれを未然に防ぐための対策も公表されました。
夏休み前後のアンケート実施や相談しやすい環境を整えること、学校や保護者との連携について記載されており、国も夏休み明けがお子さまにとって重要な時期だと捉えていることがわかります。
夏休み明けのお子さまへのケアは、今や国をあげて取り組む問題と言えるのです。
(出典:文部科学省 「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」、「児童生徒の自殺対策について」)
不登校のお子さまの接し方に迷っていませんか?
不登校のお子さまを「見守る」だけでは元気になりません。
大切なのは再登校だけではなく、お子さまの気持ちを解決して自分らしく生きる道を見つけることです。
有資格の専門家が、カウンセリングでお子さま一人ひとりに合ったゴールを見つけます。
では、夏休み明けに起こりやすい不登校にはどのように対応すればよいのでしょうか。
特に、夏休み前は何事もなく登校できていたように見えるお子さまの場合、保護者様も困惑してしまいますよね。
以下では、夏休み明けの不登校への対応法についてご紹介します。
まずは、夏休み中・夏休み明けのお子さまの異変を敏感に察知できるよう、上記に挙げたような不登校のサインを知っておきましょう。また、保護者様が感じる「いつもと様子が違うな」という感覚を侮ることはできません。
お子さまの異変を察知したり不登校の兆候をキャッチしたりするためには、日頃からお子さまとの会話を心掛け、様子を気にかけておく必要があります。日頃からコミュニケーションが取れていれば、口数や会話内容の変化に気づくことができますよね。
不登校を深刻化・長期化させないためにも、初期対応の重要性は計り知れません。
生活リズムの乱れが不登校に繋がっていると考えられる場合、早急にリズムを戻すことが重要です。
朝早く起きて日中に活動をしなければ、夜早い時間に眠くなるのは難しいものです。夜更かしをすると翌朝に響きますし、なかなか負のループから抜け出せなくなってしまいます。
近年では、スマートフォンやパソコンの利用によって就寝が遅くなっているお子さまが目立ちます。就寝前にそういった機器を使用することは寝つきを悪くさせるほか、視力低下などにも繋がるため、家庭内で使用ルールを見直すことも必要です。
不登校の原因を解決すれば登校できると考えてしまいがちですが、不登校とはそのように安易な問題ではないケースがほとんどです。
保護者様は夏休み明けの不登校への焦りや不安などから躍起になって原因を追究しようとしてしまうかもしれませんが、それは得策ではありません。「自分が不登校になったことで親が焦っている」「どうにかしようと必死になっている」という状況は、お子さまにも伝わり、プレッシャーをかけることになります。
もちろん、原因が判明することが不登校解決の糸口とはなりますが、無理に聞き出すのは親子関係に亀裂を生みかねません。
それよりも、いざとなったときにお子さまが自分から話したくなるような関係や安心感を築くことが大切です。
夏休み明けにお子さまが登校を拒否したからといって、無理に登校させることは好ましくありません。それは、仮にその場では一時的に登校できたとしても、積もりに積もったストレスによって後々さらに深刻な不登校に繋がることがあるからです。
また、保護者様が「登校したくない」という気持ちを汲んでくれなかったという事実は、お子さまの心に傷を残します。何かあったときに保護者様を頼ったり悩みを打ち明けたりしやすい関係を維持するためにも、お子さまの意に反した登校は望ましくありません。
夏休み明けの欠席が長引きそうであれば、学校に相談し、現状を伝えておきましょう。それによってスクールカウンセラーを頼ることも可能になりますし、何よりも学校と連携を取ることで、社会との繋がりが遮断され、親子で孤立してしまうのを防ぐことができます。対策を一緒に考えてくれる相手がいることが、親子の安心感に繋がる場合もありますよね。
その他、医療機関に不登校について相談することで、不登校の詳しい原因を追及したり心身の不調を和らげたりできるケースもあります。
積極的に第三者を頼り、親子で煮詰まらないような環境を整えることが重要です。
上記でもご紹介しましたが、近年では学校復帰にこだわりすぎる必要はないとの考え方が徐々に広がっています。
したがって、お子さまが安心感を得られる場所があるのであれば、それは学校でなくても構いません。
不登校のお子さまの場合、フリースクールや教育支援センターを利用することで家庭以外の居場所をつくることができます。家庭以外の社会と交流することは、結果としてお子さまの将来の自立にも繋がるため、積極的な利用がおすすめです。
不登校児のための教育支援センターについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
▶ 教育支援センター(適応指導教室)はどんな場所?文部科学省の情報をもとに解説!
夏休み明けの登校への不安は、サブスタを利用することで軽減できる可能性があります。
特に勉強に関する悩みが不登校に繋がっている場合、夏休みの間に自宅で、お子さまのペースに合った学習をすることで夏休み明けに備えることができます。
また、既に不登校で悩んでいるお子さまもサブスタでの学習を通して自信回復に繋がったり、自宅にいながら出席日数を確保したりすることが可能です。
学校はつらい思いをしてまで必ずしも行かなければならない場所ではありませんが、行かない間の勉強法の選択肢の一つとして有効なものと言えます。
今回は、夏休み明けに不登校になりやすい理由やお子さまの特徴、さらに保護者様向けの不登校対策についてご紹介しました。
夏休み明けは文部科学省も特に注意が必要な時期との見方を示しており、お子さまの心身のバランスが崩れやすいタイミングです。学校は命を削ってまで行くものではないため、結果的に何がお子さまの幸福や自立に繋がるかを考える必要があります。
お子さまに不登校の兆候がみられても、焦らずサポートしていけるとよいですね。
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