
2011年、家庭教師派遣事業を展開する教育系グループの営業責任者に就任し、3年間従事。2015年に教育ベンチャーを起業して以来、一貫して小・中学生向けICT教材の企画・開発に携わり、無学年式のオンライン学習教材「サブスタ」を開発。
また、昨今不登校生が増え続ける中、全国の通信制高校と連携し、サブスタを通じて出席扱い制度普及の活動を行っている。
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
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お子さまが不登校になると、もう高校進学は諦めるしかないと思われてしまう保護者様は少なくありません。しかし近年ではさまざまな受験方法があり、不登校のお子さまの進学を受け入れている学校も増えています。進学の道は決して閉ざされていません。
この記事では、不登校でも高校進学ができる理由や受験の仕組み、学校選びの大切なポイントを、わかりやすく解説していきます。ぜひ、お子さまと進路を話し合う際の参考にしてみてください。
もくじ
不登校の子どもは決して少なくありません。実はその数は年々増えているのです。
ここでは、不登校の子どもの現状について、詳しく解説していきます。今置かれている状況を冷静に受け入れることが、次の一歩を考えるうえでとても大切です。
年々、全国の不登校の子どもは増加傾向にあることが文部科学省の調査から明らかになっています。24年度の小・中学生の不登校の子どもは約34万人余りにものぼり、11年連続の増加、過去最多を記録しているのです。
(出典:「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)
たとえば、教室に30人の生徒がいた場合、そのうちの1〜2人以上が何らかの理由で学校に行けていない計算になります。この結果から、不登校は決して特別な状況ではないことがわかります。
さらに、高校生でも同様の傾向が見られています。不登校は小・中学生だけの問題ではありません。どの学年でも起こりうることなので、周囲と比較して落ち込む必要はないのです。大切なのは、今のお子さまの状況を正しく理解し、多くの人の助けを借りながら、必要なサポートを探すことです。保護者様が冷静に状況を見極めて理解することが、お子さまにとって何よりの支えとなります。
文部科学省の調査によると、友人関係や教師との関係、学業不振、家庭環境、本人の性格など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることが多いことがわかっています。
友人からのいじめや孤立感をきっかけに学校に行けなくなるケースもあれば、授業についていけない不安や、家庭でのトラブル、精神的な不調が原因になっていることもあります。
理由はお子さま一人ひとりによって異なり、本人でも一概に言えるものではありません。お子さまが最初に言葉にした理由だけを信じてしまうと、表面的な部分だけで判断してしまう可能性があるため注意が必要です。保護者様がお子さまの気持ちに寄り添い、とことん向き合う姿勢が、本当の理由を知ることにつながります。
(出典:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について)
不登校のお子さまは、日々さまざまな悩みや不安を抱えています。「本当は学校に行った方がいいと思ってるけど、朝になるとつらくなる」「久しぶりに友達や先生に会うとどう思われるかな…」などの葛藤と戦っているのです。
不安を抱えているのはお子さまだけではありません。保護者様も「ずっとこのままだったらどうしよう…」「進学や将来がとても心配…」と不安に感じてしまうことでしょう。周囲からの視線や憶測、学校とのやりとりなどで疲弊してしまうケースも少なくありません。
こうした不登校に関する悩みは、決して家庭だけで抱え込まないようにしてください。相談しづらく感じるかもしれませんが、学校や専門機関、同じ立場の人と情報交換をすることで解決のヒントが見つかることもあります。まずは悩みを溜め込まず気楽に相談してみてください。支えとなってくれる大切な存在が、必ず近くにいるはずです。
不登校の中学生のお子さまをもつ保護者様にとって、進学できるかどうかは気になるポイントですよね。
ここでは、不登校の場合の高校受験がどうなるのか、その仕組みについて詳しく解説します。仕組みを正しく理解し、お子さまと一緒にこれからのことについてじっくり話し合ってみてくださいね。
一般的に高校受験では、内申点が重要な評価基準の一つになっています。内申点とは、定期テストの結果や提出物、授業態度などを総合的に評価した通知表に記載のある数字のことです。不登校の場合、この内申点が低くなってしまうことが多くの保護者様が心配になる原因になっています。
しかし実は、通信制高校や一部の私立高校などでは、内申点はあまり重視されず、本番の学力試験の結果や面接、小論文などで総合的に判断しています。つまり、内申点が低くても、進学の道が完全に閉ざされるわけではないのです。
重要なのは、志望校を絞り、その志望校がどのような選抜方法を採用しているかを事前に確認しておくことです。まずは情報を集めて、お子さまと一緒に学校を探してみてください。焦らずに少しずつ準備を進めていきましょう。
出席日数も、内申点と同様に高校受験に影響が出るのではないかと心配になりやすい要因の一つです。出席日数が足りず、受験資格がないのではと不安を感じてしまう保護者様も少なくありません。
実際、公立高校では出席日数が内申書に記載されるため、選抜基準に影響することがあります。ただ、私立高校や通信制高校、定時制高校では、出席日数を重視しないケースが多く、他の評価基準で判断されることが多いです。
まずは、進学を検討している高校の選抜方法を確認してみましょう。できれば、お子さまが安心して通える進学先を見つけるためにも、学校説明会やオープンスクールに参加し、正確な情報とリアルな雰囲気を体感してきてください。
高校受験をする際、どのような選抜方法があるのかを忘れずに確認しておくようにしましょう。公立高校の一般入試、推薦入試、私立高校の単願・併願、通信制や定時制の独自選抜など、入試方法はさまざまです。
公立の推薦入試や私立の学業推薦は、内申点が出願条件になっていることが多く、不登校による成績不足が影響してしまうことがあります。しかし、私立の単願推薦や自己推薦では、面接や活動実績が重視されるので、相談次第ではチャンスが広がります。また、通信制高校やサポート校でも、書類選考や個別相談が中心になるので、内申点の心配は不要です。
お子さまの状況に合わせて、心配や負担が少なく、自信を持って臨める受験方式を選ぶことが大切です。学校のパンフレットや公式サイトを確認し、気になったことや不明点は実際に学校へ問い合わせておけるとより安心です。
どんな学校が進学しやすいのかも受験を考えている中学生にとっては気になるところですよね。受験方法だけでなく、学校の種類や特徴を理解することも大切です。
ここからは、不登校でも進学されやすいとされる高校の種類や、それぞれの特徴について紹介します。お子さまの状況に合わせた最適な選択肢を知るための参考にしてください。
通信制高校は、不登校のお子さまにとって進学しやすい学校の一つです。自宅学習が中心になり、自分のペースで学習を進められるため、学校に通うことが負担になっている場合でも安心して通えます。
学校によっては、スクーリングと呼ばれる登校日が設定されており、友達や先生と直接交流する機会も設けられています。近年では、オンライン授業の拡大に加え、学習管理システムも整備されてきているため、レポートを提出するなど、学習スタイルを柔軟に選べるようになっているのも魅力です。
通信制高校は学校ごとに特色が異なるため、資料請求だけでなく、説明会や公式サイト、公式SNSなどを通じて、サポートの充実度や学校の雰囲気などを事前にしっかり確認しておきましょう。お子さまにとって通いやすいと思える体制が整っているところを選ぶことが肝心です。
定時制高校は、不登校経験のあるお子さまを積極的に受け入れているため、進学先候補の一つとなります。昼間・夜間・二部制など、複数の時間帯で授業が行われ、学び直しを希望する生徒様や、働きながら学びたい方にも対応しています。
一般的な全日制高校と比べて、少人数クラスで落ち着いた雰囲気の学校が多いことも特徴です。先生との距離が近く、個別の相談やサポートがしやすい環境が整っています。登校日数や単位の取り方も学校によって柔軟に対応してもらえます。
ただし、定時制高校も学校によって雰囲気や学習スタイルが大きく異なります。説明会や学校見学を通じて正確な情報を入手し、お子さまにとって安心できる環境かどうかをしっかり見極めてください。焦らず、じっくり検討することが大切です。
私立高校の中には、不登校のお子さまに対して柔軟な対応をしている学校も多くあります。公立高校と比べて校風や選抜基準もさまざまで、学校独自の入試方式を実施しています。推薦枠や面接重視の採点、自己推薦制度などが設けられているため不登校のお子さまにとってチャレンジしやすいのが特徴です。
学校の成績だけでなく、本人の意欲や将来の目標を評価してくれる学校もあり、不登校の経験を理解し、前向きに受け止めてくれる学校が数多くあります。入学後のサポート体制も手厚く、学校生活への復帰を支援しているため安心です。
懸念点としては、学費の負担が大きくなることです。保護者様は、学校説明会や個別相談を通じて、教育内容や支援体制だけでなく、年間の学費や利用できる支援制度などをよく確認しましょう。ご家庭にかかる負担とのバランスも考えながら、じっくり検討することが大切です。
サポート校は、通信制高校と連携しながら学習をサポートする教育機関です。不登校のお子さまが安心して高校卒業資格を取得できるよう、学習面や生活面のきめ細かい支援を提供しています。
授業は少人数制や個別指導が中心で、一人ひとりのペースや状況に合わせて学習計画を立ててもらえるのが特徴です。学習内容のフォローだけでなく、心理的なサポートや進路相談、就職支援まで対応している学校もあります。
注意しなければならないのは、サポート校は正式な高校ではないため、提携先の通信制高校への入学が必要です。どこの通信制高校と連携しているのか、どんなサポート内容なのかをよく確認し、お子さまに合った環境を整えてあげてください。
オンラインスクールは、完全自宅学習型のスタイルを提供している教育サービスです。通学の必要がないため、自宅にいながら学習を進められ、ネット環境があれば場所を選ばずどこでも授業を受けられます。
授業内容はライブ配信やオンデマンド(録画授業)を視聴する受講スタイルで、双方向型の質問対応なども用意されており、わからない部分はチャットや個別面談を通じて相談できるのが特徴です。さまざまな理由で対面を苦手に感じているお子さまでも、心理的安全性を確保しながら学べます。
ただし、オンラインスクールは自分のペースで進められる分、自己管理が必要です。慣れるまでは保護者様のサポートも必要となることが多いでしょう。どのようなサポート体制があり、どんな教材を使用するのかなど、具体的なところまで保護者様も一緒に公式サイトや学校説明会などで確認しておくことをおすすめします。
不登校でも、進学できる学校の選択肢は多いので、どれが自分に合っているのか悩んでしまうこともよくあります。
ここからは、お子さまに合った学校選びをするうえでの大切なポイントをお伝えしていきます。迷いや不安を少しずつ取り除きながら、最適な学校選びをするために役立ててください。
学校までの距離や交通手段など、お子さまにとって通いやすい学校かどうかは非常に重要なポイントです。どんなに魅力的な学校でも、通学への負担が大きくなれば通い続けることがしんどく感じてしまいます。
とくに不登校の経験があるお子さまの場合、体調や精神的に波があることも多いので、配慮する必要があります。できるだけ通学の負担を少なくすることで、無理なく通えるよう環境を整えるようにしましょう。
通うことに不安を抱えているお子さまには、オンライン授業やスクーリングの日数が少ない通信制高校、サポート校などもあり、物理的な距離の影響をあまり受けない選択肢もあります。事前に学校まで足を運び、通学時間や乗り換えの回数、混雑具合などを把握しておけると安心です。登校頻度も忘れずに確認しておいてください。
学校選びでは、学習内容や進学実績だけでなく、学校の雰囲気がお子さまに合っているかも重要なポイントです。お子さまの性格や価値観に合わない環境では、学校生活に馴染めず、ストレスを抱えてしまうことになります。
明るく活発な雰囲気が合うお子さまもいれば、落ち着いた学校の方が安心できるお子さまもいます。オープンスクールや体験入学、学校説明会では、学校の雰囲気や先生と生徒の距離、授業の様子を実際に見て感じ取ることができます。
ぜひお子さまと一緒に学校に足を運び、本人がどのように感じたか聞いてみましょう。ここならがんばれそうと思える学校に出会えれば、学校生活を前向きに続けられる可能性が高まります。
学校選びにおいて、進路のサポートがどれくらい手厚いかも非常に重要な見極めポイントです。とくに不登校のお子さまの場合、学習面だけでなく、進学や就職に不安を抱えていることが多いため、学校側の支援体制が整っていれば大きな安心材料になります。
進路相談を個別に手厚く対応してくれる、模擬面接や履歴書の添削をサポートをしてくれる、インターンシップや職場見学の機会が用意されているなど、学校によって提供している支援体制はさまざまです。
説明会や公式サイト、パンフレットなどを通じて、どのような進路指導が受けられるのかを事前に確認しておきましょう。お子さまが安心して将来のことを相談できる学校を選ぶことが大切です。
不登校のお子さまが前向きに受験を目指すためには、保護者様のサポートが欠かせません。
ここでは保護者様ができるサポートを具体的に紹介していきます。しっかりとお子さまに寄り添いながら、一緒に高校受験を乗り越えていきましょう。
高校受験を目指すうえで一番大切にしたいのは、お子さまの気持ちです。保護者様が進学してほしいと願うのはごく自然なことですが、もし本人が不安や迷いを抱えているのであれば、保護者様の気持ちを前面に出してしまうのは逆効果になってしまいます。
お子さま自身が本当はどうしたいと考えているのか、ゆっくり話し合い、気持ちに寄り添いましょう。少しでも自分の考えを伝えてくれたら、話してくれてありがとうと、まずはお子さまの気持ちを全部受け止めてあげてください。保護者様が味方でいてくれることが、お子さまにとって何よりの安心につながり、前向きに考えるきっかけになります。
進学はあくまで本人が決めることです。保護者様が受験の話をする際も、「どんな選択をしてもあなたの味方だよ」という姿勢で、焦らずゆっくりと気持ちを尊重することを意識してください。それがお子さまにとって一番の支えとなります。
お子さまが受験情報を一から自分で調べるとなるとハードルが高過ぎることが多いです。
手間はかかりますが、保護者様が積極的にサポートして受験情報を集めることで、じっくりと先々のことを考えられるのでぜひ取り組んでみてください。
学校の公式サイトやパンフレット、説明会の資料などが集まったら、一緒に見て内容を確認してみましょう。進学実績やカリキュラム、学校の雰囲気、サポート体制など、気になる部分を一つずつ整理し、理解していくことで、お子さまの進学への期待を高められます。
ここでのポイントは、保護者様が一方的に調べて終わりではなく、お子さまと一緒になって学校への理解を深めていくことです。「何が知りたい?」「一緒に調べてみようよ」と声をかけ、進路選びをワクワクするような共同作業にしてあげてください。
高校受験を目指すにあたり、不安が拭えないこともあるかと思います。そんな時には、保護者様とお子さまだけで悩みを抱えずに、プロの力を借りることも選択肢に入れてみてください。信頼して相談できる大人が多ければ多いほど、お子さまは安心感に包まれます。
家族や身内だけでなく、学校の先生や塾、家庭教師、通信教育のサポートなど、受験に詳しいプロに手助けしてもらうことで、状況に合わせた的確なアドバイスが受けられます。
保護者様ががんばりすぎて疲弊してしまうと、お子さまも心配になり、不安になってしまうものです。無理をせず、困ったときは誰かを頼ることの大切さも、背中で教えてあげてください。
ここからは、不登校のお子さまを持つ保護者様から寄せられることが多い質問をまとめました。丁寧に回答していきますので、ぜひ参考にして少しずつ不安を和らげてください。
高校では環境が大きく変わるため、前向きに通えるようになるお子さまはたくさんいます。新しい友達や先生との関わりを通じて、少しずつ学校生活に慣れていけるお子さまも少なくありません。
お子さまに合った学校やサポートを探して少しずつ自信をつけられる環境を整えましょう。進学後のサポート体制も事前に確認しておき、必要なときにいつでも相談できるようにしておくことが大切です。
学校に通わなくても受験勉強を進めることは可能です。塾や家庭教師、通信教育、オンライン学習など、現代ではさまざまな学習手段があり、自宅でも効率的に学ぶことができます。
学校以外で勉強する手段は数多くありますので、お子さまに合う方法を見つけてみてください。学習相談ができるプロの力も頼れると、進路の情報なども受け取れるので安心ですよ。
高校進学は、必ずしも全員がしなければならないものではありません。ただ、高校に進むことで将来の選択肢が広がるのも事実です。
無理に決める必要はありませんが、進学を一つの手段として考え、進学する場合としない場合のそれぞれのメリットやデメリットをお子さまと一緒に整理し、どう感じたかを話し合うことが大切です。さまざまな選択肢についてきちんと理解したうえで、じっくり考えてみましょう。
不登校でも高校進学はできます。大切なのは、焦らずお子さまの気持ちに寄り添い、じっくり最適な進学先を一緒に探すことです。困ったときは保護者様だけで抱え込まず、周囲の力もたくさん借りてください。
不登校のお子さまが自宅学習の環境を整えるには、映像授業を使って自分のペースで進められる「サブスタ」のような学習アプリがおすすめです。お子さまにとって安心できる環境が整えば、これからのことについても前向きに話し合えるようになりますよ。