
学習コラム
正しく学ぶ方法や成績の伸ばし方、
不登校に悩まれている方のための
情報を発信しています。

「不登校中の子どもがゲームばかりで困る」と悩んでいる保護者様は多いのではないでしょうか。不登校のお子さまが時間も忘れてゲームに没頭している姿を見ると、「このままずっとこの状態だったらどうしよう」と心配になってしまいますよね。
しかし、不登校のお子さまがゲームに熱中するのには、いくつかの理由があると言われています。
今回は、不登校中のゲーム依存の原因や対処法について詳しくご紹介します。
もくじ
不登校中にゲーム依存になりやすい原因は?
不登校中にゲームをすること自体は、一概に悪いとは言えません。しかし、不登校でないときに比べて不登校中にゲームをするとついのめり込みすぎてしまったり、さらに悪化するとゲーム依存になったりするケースが多いのも事実です。
不登校中にゲーム依存になりやすい原因は何でしょうか。ここでは、3つの原因をご紹介します。
ゲーム依存の理由 ①現実逃避
不登校中のお子さまは、さまざまなストレスを抱え葛藤しています。不登校になったことへの焦り、不安、罪悪感など、言動には表れていなくても何かしら悩んでいることはあるはずです。
そのようなストレスと面と向き合うのは、大人でもつらいですよね。お子さまならそれは尚更で、そういったストレスから逃げるために現実逃避という形でゲームに没頭することがあります。
不登校中のお子さまがゲームをするのは、なにも「ゲームが好きだから」だけではありません。ゲームをしている間だけは頭の中の雑念が消え、学校のことを考えなくて済む。この状態が楽であるからこそ、ゲームにのめり込んでしまうのです。
ゲームによって現実逃避したからといって、不登校という現状が変わるわけではないことは、お子さま自身が一番よくわかっています。その葛藤を抱えながらゲームに逃げてしまう自分にがっかりし、自己肯定感の低下に繋がっているケースもあります。
ゲーム依存の理由 ②ストレス発散
ストレスを発散することが目的で、不登校中にゲームをしている場合もあります。自分が不登校になっていることへの焦りや苛立ちを、たとえば対戦系のゲームなどをすることで誤魔化し、ストレスを発散させることは珍しくありません。現実世界ではなかなか自分を出せないお子さまでもゲームでは殻を破り、堂々と立ち振る舞えることが快感になっていることもあります。
また多くの場合、そのようなお子さまはゲーム以外の趣味や好きなことがなかったり、あったとしてもそれに取り組む気力がなかったりすることも特徴です。ゲームをすること以外にストレスを発散させる術を知らないために、ますますゲームに没頭し、依存してしまうことがあります。
ゲーム依存の理由 ③ゲームが唯一の居場所
お子さまがオンラインゲームのように他者と交流できるゲームをしている場合、その交流や空間がお子さまにとって唯一の居場所となっている可能性もあります。
特に、不登校の原因が友人関係によるものである場合、ゲームという共通の趣味で知り合った他者との交流は心の拠り所になっていることでしょう。学校で感じていた疎外感をゲーム内では味わわず済むため、居心地がよい空間となっていることもあります。
ゲーム内の「顔も名前も知らなくとも自分を受け入れてくれる環境」は心地よいもの。気が合わなくても一緒に過ごさなければならない学校での対人関係と違い、話したい・関わりたい人を自分で選び、趣味の合う者同士でやりとりできるゲーム世界は気楽ですよね。ゲームがお子さまの支えとなり、ゲーム依存へと繋がっているケースもあります。
不登校中のゲーム依存に家庭でできること
不登校中にゲームに依存してしまう原因を踏まえ、家庭でできる対処法があれば実践していきたいですよね。
ここでは、家庭内でのゲーム依存への対処法をはじめ、より状況を改善させるために家庭外にサポートを得る際の対処法などについてご紹介します。
ゲーム依存への対処法 ①現状と向き合う
まず、保護者様はお子さまとしっかり会話の時間を設け、お子さまのゲームに対する思いを知るところから始めましょう。
ゲームを辞めさせようとしたり否定的なことを言ったりするのではなく、「ゲームの何が楽しいのか」「どういったゲームに熱中しているのか」といったようにお子さまに興味を持ち、それを態度で表すことが必要です。
その中で、単に娯楽でゲームをやっているのではなく、前項でご紹介したように「ゲームを通して居場所を探している」ことが発覚する場合もあります。
お子さまにとっても、保護者様とゲームの話をする中で自分の本心やゲームに熱中してしまう理由を客観的に捉えることができるとよいですね。
ゲーム依存への対処法 ②ルールを習慣化する
保護者様がお子さまのゲームについて理解を示し、またお子さまも自分の問題に気づくことができたら、ゲームに対するルールを設定してみましょう。
このとき、保護者様が一方的にゲーム時間や内容を指定するのではなく、お子さまと会話しながらお互いが納得できるルールを設定できるとよいですね。ルールが存在すると、保護者様はついお子さまがそれを守れているか気にしてしまいがち。
しかし、ある程度はお子さまの様子を見守り、お子さまを信用しているという姿勢を見せることも重要です。
ゲーム依存への対処法 ③ゲーム以外の楽しみを見つける
ゲームに依存してしまうのは、「ゲーム以外に楽しいと思える活動を知らないから」という可能性もあります。たとえばスポーツや音楽といったように、不登校で家にいてもできる活動はいくつかありますよね。
ここまで、保護者様が干渉しすぎないような対処法をお伝えしてきましたが、お子さまだけでは経験の乏しさゆえに気づきにくかったり実行が難しかったりする場合には、そっと手助けをしてあげられるとよいですね。
ゲーム以外に、お子さまが楽しめたり居場所と感じられたりするような活動を親子で模索してみましょう。
ゲーム依存への対処法 ④病院受診やカウンセリングを検討する
ゲーム依存から抜け出すために親子で試行錯誤してみても、上手くいかないことはあります。そのようなときは、病院やカウンセリングなど、プロの手を借りることも有効です。「依存症治療」「精神科病院」「カウンセリング」と聞くと敷居が高く、恥ずかしいと感じてしまうかもしれませんね。しかし、自分の問題と向き合い、そのような場を利用しようと決断することは立派ですし、そもそも医療機関などを利用することは全く恥ずかしいことではありません。
いきなり親子で相談機関を利用することは難しいと感じる場合、まずは保護者様だけで利用することも可能です。お子さまへの接し方やゲームとの向き合い方についてアドバイスをもらえると心強いですよね。また、保護者様にとっても家庭外に悩みを吐き出せる場があることはストレス発散にもなります。
お子さまにとっても、病院やカウンセリングの場を利用することで保護者様には話しにくい本心を語れる場合がありますし、親子関係の悪化を防止できるケースもあります。
まとめ
今回は、不登校中にゲームに依存してしまう原因や、その対処法についてご紹介しました。
大人にとっては単なる娯楽・趣味に見えるゲームでも、実はお子さまがゲームに頼らざるをえない状況であることを示している可能性もあります。
お子さまとの会話の中でゲーム依存の原因を探り、少しずつ改善に向けて対処していけるとよいですね。