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不登校による勉強の遅れを取り戻す方法は?不安を解消する4つのポイント

不登校

2023/05/08

お子さまが不登校になると「勉強が遅れてしまうのでは?」と心配ですよね。不登校が長くなるほど、遅れを取り戻すためにはどうしたらいいのかと深く悩む保護者様は多いと思います。

 

結論を言うと、不登校の期間中の勉強は取り戻せます。では、どのようなプロセスで取り戻していくのでしょうか。

 

この記事では、不登校について理解を深めるとともに、勉強の遅れを取り戻す方法を詳しく解説していきます。また、不登校のお子さまへの接し方についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

不登校の現状を知る

文部科学省の不登校に関する調査結果を見ると、小中学生の不登校は年々増加の傾向です。学校へ行けなくなる理由として、「無気力・不安」の割合が最も大きいのは近年の特徴といえるでしょう。

 

なぜなら、コロナ禍でさまざまな制限があり、学校行事の中止や交友関係が思うように築けない状況が続いたからです。学校での活動が制限され、登校意欲が低下したと考えられます。

参照:令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

 

ここでは、不登校になるきっかけや回復までの段階をお伝えしていきます。不登校の現状を知りどのタイミングで勉強の遅れを取り戻すか、ぜひ参考にしてください。また文部科学省のCOCOLOプランについても紹介します。

不登校になるきっかけ

不登校になるきっかけはさまざまです。

  • 人間関係
  • 無気力や不安
  • 成績不振
  • 学校そのものが苦手
  • 家庭環境
  • 身体の不調

 

いじめや先生との相性、勉強についていけないといったはっきりした原因もありますが、多くのお子さまはなぜ学校へ行けないのか、言葉で説明できません

なぜなら、複数の要因がからまっているためお子さま自身も言語化できないからです。また、思春期にいるお子さまは感情の起伏がはげしく、理由はわからないけれどイライラしたり落ち込んだりするものです。

不登校の段階

不登校は、回復までに段階があります。それぞれの段階にはどのような様子が見られるのでしょうか。

保護者様は、不登校の段階を理解してお子さまへの接し方を変える必要があります。

不登校初期や本格期の段階で勉強させるのは逆効果です。親子関係が上手く行かなくなるほか、部屋に引きこもるなど不登校の時期が長引くかもしれません。

 

安定期を過ぎると、お子さま自身が勉強の遅れを気にする発言をする場合があります。エネルギーが貯まり、学校や外の世界とのつながりを考えるようになった段階で、勉強する環境を整えるようにしましょう。不登校の段階に応じた適切なサポートが不登校の根本解決につながります。

現状維持システム

人間には、変化を嫌う特性があり、現状を維持しようとする機能が生物学的に備わっています。不登校の段階で安定期にいるお子さまは、まさにこの「現状維持システム」が発動している状態です。

勉強の遅れを気にする発言をしても、学校へ行かないのがあたりまえで心地よい状態になっていると、登校する気持ちにはなりません。「友達と上手くいかなかったらどうしよう」「勉強がわからなかったらどうしよう」とネガティブな思考になると、学校へ行かない現状を維持しようとするのです。

 

このような機能が人間に備わっていると知ると、学校へ行くのにどれほどエネルギーを必要とするか想像できるのではないでしょうか。「勉強する」と言ったのに、行動しない場合はよくあります。心地よい状態を抜け出し挑戦しようとしている時期だと理解し、穏やかに見守る姿勢が大切です。

政府の取り組み

不登校の小中学生が増加傾向にあるなか、令和5年3月に文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策」であるCOCOLOプランを取りまとめました

内容は以下の3つです。

  1. 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
  2. 心の小さなSOSを見逃さず「チーム学校」で支援する
  3. 学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする

 

自治体や教育委員会に対しては、このような内容を踏まえた速やかな不登校対策の推進を求めています。子どもが家以外の居場所を求めたり勉強しようと動き出したりする時期に、学校以外の関係者と連携したサポート体制があるのは心強い取り組みといえるでしょう。

参照:COCOLOプラン

不登校は心の成長期間ととらえる

不登校の期間は、お子さまはもちろん保護者様にとっても辛い時期です。家にいる時間が長くなるほど、勉強の遅れを感じて焦ってしまうのも無理はありません。

しかし、家にいて何もしていないように感じても、お子さまの心は確実に成長しているものです。

 

ここでは、どのような対応をするとお子さまの心に変化が起き、勉強する意欲が湧いてくるのか解説していきます。

充分な休息を取る

無理に学校へ行かせようとせず、まずはゆっくり休ませてあげるのが一番大切です。保護者様は、ある日突然学校へ行かなくなったように感じるかもしれませんが、お子さまにとっては長い時間をかけてストレスが貯まり限界に達して動けなくなった状態です

 

不登校になり始めのころは、学校へ行かない理由を問い詰めたり勉強の遅れに焦ったりせず、休んでいる間も普段通りに接するように心がけるようにしましょう。気持ちが落ち着くまでは登校刺激せず見守る姿勢が大切です。

居場所を作る

子どもの生活範囲は、学校、家、塾や習い事がほとんどです。なかでも学校が占める割合はとても大きいといえるでしょう。学校でうまくいかないと、想像以上にお子さまの負担は大きくなり精神的に追い詰められてしまいます。安心して心と身体が休まる安全な居場所が、不登校のお子さまには必要不可欠です。

では、どのように感じられると安心安全な場所といえるでしょうか。

  • 自分の存在が認められている
  • 自分には価値があると感じられる
  • 自分が人の役に立っていると感じられる
  • 自分が愛されている実感を持てる

 

学校へ行けなくなったお子さまが安心して過ごせる場所を作らなければ、強い孤独感と劣等感で自己肯定感は低くなります。自己肯定感が低いままでは、主体性は育まれません。主体性がなければ、自ら勉強したり外に出たりする意欲は湧いてきません

 

居場所が必要な理由は、以下の記事でさらに詳しく解説していますので参考にしてください。

なぜ不登校の子どもに「居場所」が必要なの?大切な3つの理由を知ろう!

勉強の遅れを取り戻す方法を知る

不登校になると、勉強の遅れが気になる保護者様は多いです。保護者様だけではなくお子さま自身も焦りを感じているかもしれません。

どんなに不登校の期間が長くても、お子さまのエネルギーが貯まり、自ら動き出す時期が来れば、勉強の遅れは必ず取り戻せます。ここからは、不登校による勉強の遅れを取り戻す具体的な方法を解説します。

不登校専門の学習塾

学校へ行けなくなったお子さまは、集団で授業を受ける体制が苦手かもしれません。しかし、不登校専門の塾なら状況を理解してくれる先生やスタッフが在籍し、同じ悩みを持つ友達ができる可能性もあります

また、集団授業が苦手なお子さまには、個別指導の学習塾もあります。一人ひとりに合わせてカリキュラムを組むのが特徴で、丁寧な指導が期待できるほか、質問しやすい環境が整えられています。

 

不登校専門の学習塾では、復学のためのサポートやメンタルの悩みなどにも専門家と連携して対応してくれる塾があります。サービスや実績は塾によって異なるため、いくつかの塾を比較し、可能であれば体験授業を受けるのもいいのではないでしょうか。

家庭教師

家庭教師の最大のメリットは、自宅で勉強できるのと自分のペースが保てることです。外出が苦手なお子さまや、生活リズムがまだ整っていない場合でも時間の変更が可能です。

不登校専門の家庭教師であれば、お子さまの状態に合わせたきめ細やかな指導が期待できるほか、勉強以外のサポートも受けられる場合があります

お子さまに合った最適な道を探すお手伝いや、メンタル面のサポートから進路の相談も可能です。一対一で親身になって寄り添ってくれるのが家庭教師の特徴といえるでしょう。

オンライン学習

オンライン学習は、効率よく勉強を進めたいお子さまに適しているでしょう。学習計画の作成や、抜けている単元の穴埋めなど、無理なく計画的に勉強できるよう指導してくれるサービスがあります

また、オンライン教材を活用した在宅学習は、「出席」を認められる場合があります不登校であっても、出席扱いになる制度が利用できるのは大きなメリットです。

小・中学生向けのオンライン学習を定額制で契約できるサブスタでは、プロの学習アドバイザーが不登校のお子さまに寄り添ってサポートしてくれます。教材の提供だけではなく、最適な学習方法で勉強習慣が身に付く指導は、勉強の遅れが気になる方には心強いでしょう。

子どもを理解する

不登校の期間は、親子の信頼関係を築き直す期間でもあります。お子さまを理解するために、いままで以上に意識して話を聴き、共感して適切な対応を心がけると、お子さまが自ら動き出して勉強の遅れを取り戻していくでしょう。

「なんとかして勉強の遅れを取り戻さなければ」と保護者様が前のめりになってお子さまをコントロールしようとしても、逆効果で意味がありません。例え勉強を始めたとしても、長続きせず不登校の期間が長引く可能性があります。

では、お子さまを理解し信頼するには、どのように接するといいのでしょうか。ここからは、保護者様がお子さまと接するうえで意識するべきポイントをお伝えします。

話を聴く

お子さまが話しかけてきたら、作業の手を止めて目を見て、最後まで聞き切りましょう。なぜなら、人は話を聞いてくれた人を信用する生き物だからです

今までお子さまの話に「でも……」「そうはいっても……」と話を否定したり、さえぎったりしてきませんでしたか保護者様とは違う意見であったとしても、まずはお子さまの話の内容を聴いて気持ちを理解するようにしましょう

共感する

信頼関係を築くには、話をただ聴くだけではなく共感することも大切です。共感とは、相手の意見に同調するのではなく、相手の立場になりきって相手の気持ちを味わい寄り添うことです。

親の立場から「学校へ行かなければならない」「勉強しなければならない」などの価値観を押し付けてはいけません。お子さまの立場に立って共感を意識すると、なぜ学校へ行きたくないのか、なぜ勉強する気にならないのかが見えてくるのではないでしょうか。

話を聴いて共感する姿勢でいると、お子さまは「話を聴いてくれた」「自分のことを理解してくれた」と安心します

主体性を大事にする

今までたくさんのつまずきがあって学校が辛く感じているお子さまは、ネガティブな体験から自信を失って不登校になっています。

だからと言って、失敗しないように、辛い思いをしないようにと保護者様が先まわりをして解決してしまうのは過干渉です。お子さまは失敗を経験して、そこから学び成長していきます。失敗して落ち込んでいる時こそ、保護者様が味方になって精一杯サポートしてあげましょう。

いつまでも親が先回りしていると、子どもの主体性は育まれません。「なんとかして学校へ行かせなければ」「勉強の遅れを取り戻さなければ」と必死になっても不登校は解決しません。大切なのは、お子さまの意思や判断を受け入れて認めてあげることです。

 

「〜したい」という願望を受け入れ実行させてあげると主体性は育まれていきます。不登校の時期は、好きなことを好きなだけさせる期間と割り切って、お子さまが自ら「やりたい」といったことは可能な限り挑戦させてあげましょう。失敗も想定内です。「やりたい」ことがあってこそ「必要な勉強がしたい」という願望が生まれてくるのです。

まとめ

ここまで、不登校による勉強の遅れを取り戻す方法と、不安を解消するためのポイントをお伝えしました。

  • 不登校の現状を知る
  • 不登校は心の成長期間ととらえる
  • 勉強の遅れを取り戻す方法を知る
  • 子どもを理解する

 

不登校になると、勉強が遅れてしまうのではないかと心配ですよね。しかし、これらの4つのポイントを知ると、勉強の遅れに対する不安は解消されるでしょう。

 

不登校の期間中に適切な対応をしていけば、心のエネルギーが貯まって勉強の遅れは必ず取り戻せます。不登校のお子さまへの接し方についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。